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日本フィルハーモニー交響楽団第647回定期演奏会

2013-01-25 22:29:04 | Classic
首席指揮者アレクサンドル・ラザレフとの契約を、2011/12シーズンより更に5年延長して挑む日本フィルハーモニー交響楽団との、《ラザレフが刻むロシアの魂》。そうか、気合が入っているなと感じる。今夜は、ラフマニノフ・チクルスである。

寒さが厳しくなると無性に聴きたくなるラフマニノフ。プログラム・ノートによると、1941年に、ラフマニノフ自身は「私はロシアの作曲家です。私の生まれた土地が、私の人格と精神を、かたちづくったのです」と語っていたそうだ。日露戦争の翌年の1906年にドレスデンに移住し、ロシア革命から逃れるために1918年には今度はアメリカに移る。そんなラフマニノフの代表作、ピアノ協奏曲2番のソリストを務めるのは、2009年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで最年少優勝者となったハオチェン・チャンである。

すらりとした長身から流れるハオチェン・チャンの音楽は、ラザレフの振るロシア人のロシア人による音楽とは少し異質な印象がする。ハオチェンのピアニズムは、美しくロシアの大地の咲く白い花のように可憐に清々しくもあるが、はるか大地を染めるような熱情には少しものたりない。改めてプログラムを見ると、ハオチェンは1990年生まれ。平成2年生まれではないか。しかし、きれがよくロシアのおっさんの太っ腹におされ気味となりつつも、鮮烈にラフマニノフを弾ききった。なかなかいけるじゃん、と満足したのだが、アンコールで弾いた中国民謡は絶品だった。ラフマニノフがロシアの大地に育てられたとしたら、スカラシップを獲得して15歳の時からアメリカのカーチス音楽院で研鑽を積んだハオチェンも、中国という国に生まれ、育てられた、やはり中国のピアニストなのだった。この曲を選択した彼の心情を聞いてみたい気がした。

さて、後半の交響曲第3番は、まさにラザレフのパワー全開というところ。ロシア風の重さよりも、華々しくもにぎやかに、しかも色彩的に音楽がつくられていく。これまでのこの曲の印象が一変するくらいの豪快さである。契約を延長するのも納得の奮闘ぶり。それでいて、音が乱れたり大味になることもなく、日フィルの演奏も心に響いてくる。逆に、ラザレフの持ち味がわかってくると、10年後に今よりも成長したハオチェンとの共演をもう一度聴いてみたい気がしてくる。最後に振った瞬間にくるりと回転して客席に向いた時は、本当に拍手喝采!

------------------- 2013年1月25日 サントリーホール -------------------------------

曲目 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
:交響曲第3番

アンコール 中国民謡/彩雲追月

指揮 :アレクサンドル・ラザレフ
出演 :ハオチェン・チャン(ピアノ独奏)


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