千の天使がバスケットボールする

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山形交響楽団 さくらんぼコンサート2012

2012-07-05 23:01:54 | Classic
本日のコンサートは、開演前にプレトークありか・・・。
会場内の掲示を眺めがら、そうか、とさして期待していなかったのだが、山形物産展らしき緑のエプロン姿にハッピをはおった長身の男性が登場した時は、思わずのけぞりそうなところをこらえて二階席から身をのりだしていた私。
えっっ、、、まじっすか。私の席からは全く顔が見えないのだが、あのりっぱな長身、ジムで鍛えた女性のためにあるようなあつい胸は、ど~う考えてもマエストロではありませんか?!似合わないエプロンとハッピに混乱しているうちに、次々と解説が続くのだが、ちっとも頭に入ってこない。ブラームスの話は楽しいが、山形の物産の宣伝やスポンサーへのお礼など、どう考えても指揮者というよりも、おらが農協のちょっと年季の入った青年の語り口だべさ。

ビジネス本の傑作「マエストロ、それはムリですよ・・・」で知った山形交響楽団と飯森範親氏の奮闘。これは是非、さくらんぼコンサートを聴きたいと願っていたのがようやく実現。(毎年、6月27日にオペラシティで開催されていたようだ。)プログラムによると、飯森氏は、日本経営士会が主催する2010年ビジネス・イノベーション・アワード大賞を受賞していて、名誉会員になっていらっしゃる。本気度が、違う。会場に入るや、「やまがたへきてけらっしゃい」というチラシや旗が並び、新品種のお米「つや姫」が展示されている。勿論、抽選で観客にプレゼントされる山形産さくらんぼも、クラシックCD売り場よりも活気があって販売されている。いつもと違う雰囲気のアットホームのコンサート、それだけでもちょっとうれしい。

さて、肝心のコンサートだが、最初はN響アワーでおなじみだった西村朗氏の委嘱作品。創立40周年記念を迎えた山響も力がはいっている。当日、ご家族の事情で欠席された西村さんの解説によると、「悲」は仏教のカルナーのことで、人生の苦海に生きる人への同情同苦を意味するそうだ。音楽を聴きながら、日本の苦難の道を考えたりする。緻密さが要求される曲だと感じるが、ていねいな音づくりだ。

いよいよ真打登場!おなじみのダニール・トリフォルノフ君だが、有名な冒頭の出だしから、音が美しくクリアで一気に観客の心をつかんだと思われる。第二楽章の私が好きなソロの部分でも、音の粒が水滴に反射してきらめくように夢のような音楽だ。マエストロも彼の演奏を、音色が多彩で音のレンジも広いと絶賛している。彼の演奏を聴いていると、これまで出会ったことのないくらいのとても想像力が豊かなピアニストという確信が深くなる。自由でのびのびとした演奏が、ダニール君の年齢の若さとあいまって、一瞬も一時も聴かせてくれる。アンコール曲も素敵でいくらでもひきだしがありそうだ。ところで、演奏終了後、間近でみたダニール君は、どこからあんなに大きな音がでるのか、エネルギッシュな演奏が想像しにくいむしろ小柄な少年のような容姿だった。

最後のブラームス。チャイコフスキーのVn協奏曲が、ソリストのダニール君に圧倒されているようで、いまひとつさえなかった山響。世界の頂点をめざす逸材との我彼の差をみせつけられたようだが、ブラームスは重厚でよく響きわたった。彼らがこの曲を大切にされているような感じが伝わってきて、さくらんぼの抽選は残念なことにはずれてしまったが、来年の6月27日にも再会したい。

------------------------ 2012年6月27日  オペラシティ  ------------------------------------

飯森範親(指揮)、ダニール・トリフォノフ Daniil Trifonov (ピアノ / Piano)
山形交響楽団(演奏)

指揮:飯森範親
曲目:西村朗/弦楽のための悲(ひ)のメディテーション(創立40周年記念委嘱作品)
   チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
   ブラームス/交響曲第2番ニ長調
   アンコール:チャイコフスキー/18の小品より第13曲「田舎のエコー」

■こんなアンコールも
・マエストロ・飯森範親氏列伝「マエストロ、それはムリですよ・・・」
第14回チャイコフスキー国際コンクール 優勝者ガラ・コンサート


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