千の天使がバスケットボールする

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「マエストロ、それはムリですよ・・・」プロローグ 飯森範親氏列伝

2009-08-17 22:49:10 | Classic
来年の年始に放映予定のご存知「のだめカンタビーレ」の撮影も、順調にすすんでいるようだ。今から、とっても楽しみにしている。
ところで、のだめ憧れの千秋先輩に最もイメージが近い現役指揮者といえば、多少年齢が上になるが、私はこの方以外に思い浮かばない。東京交響楽団の正指揮者、飯森範親氏、46歳。珍獣系の多い指揮者族で、決して玉木宏さんのような完成されたハンサムではないが、身長もすらりと高く、ジムで鍛えた肉体はメタボとは無縁、さらりと流した長髪、そして何よりも華やかさと指揮者にふさわしいオーラとカリスマ性がそなわっている。少女漫画に登場する指揮者の典型、文句なくかっこいい。彼を追いかけて全国のコンサート会場に出没するオッカケ族もいるらしいという人気ぶりもわかる。音楽家には美食家は多いが、彼もご多聞にもれず、千秋のように料理も美味いらしい・・・。持ち物にもこだわりがありなんだか決まり過ぎていて、一歩間違えれば千秋のように”オレ様”タイプのキザ男によろめきそうな御仁、、、と思っていたのだが、とんでもない!
飯森氏と山形交響楽団の挑戦を書いた「マエストロ、それはムリですよ・・・」という本の後に、著者の松井信幸氏とのインタビュー記事が掲載されているのだが、それを読んですっかり私めも遅ればせながら飯森さんのファンになってしまったのだった。

飯森さんのお父様は広告代理店勤務の会社員だったが、チェリストを志したことのあるおじい様の影響で生まれた時からおうちにクラシック音楽が流れ、1歳の誕生日前にコンサート会場にデビュー。(当時は、乳幼児でも会場に入れたのだろう。)音楽だけではなく幅広い体験を、というお母様の意向でわずか3歳にしてルノアールの裸婦像に感動する。しかも、麻雀大好きで「葉山のピラニア」とおそれられていた?お父様の手ほどきで、幼稚園時代にすでにりっぱに麻雀を打ち、小学生時代に身に付けた盲牌の技能は、後年指揮者になってからの集中力にも役にたったとか。但し、本格的に音楽家を志すようになると、打つ時間がなく中学に入学する前には麻雀もめでたくご卒業された。

一方、お母様の方はオリジナリティをとても大切にされる方で、一般的な学習机ではなく押し入れを改造した”お城”を作ったり(このお城に感動した時の気持ちは今でも鮮明だそうだ)、当時、範親少年のランドセルはあの時代に特注の緑色だった。豪快でありながら人への感謝の気持ちを説くお父様と、雑誌に子育ての記事を書いていた素敵なお母様に育てられ、中学生頃になると範親少年は指揮者を志すようになる。

高校は神奈川県立追浜高校。経済的な理由から、当初藝大をめざすもテレビで小澤征爾氏の指揮に感動して、桐朋音大に志望大学を変更する。これはどういうことを意味するかというと、なかなか複雑な苦労が伴うものである。飯森高校生は、自分で尾高忠明氏を訪ね指揮科に入る準備をはじめる。一般の高校から桐朋の指揮科に入るのはみんなに「ムリッ」と言われつづけたが、朝は6時前に起きてピアノの練習、ソルフェージュ、スコアリーディング、高校に登校して帰宅すると夜10時までピアノの練習、それから和声学の勉強と、睡眠時間は平均3~4時間!そんな超多忙なカラダなのに、土日はバンド活動をして文化祭にも出演していたところが笑える。
そんな努力が実り、普通科から現役で桐朋学園大学の指揮科に進学した唯一の学生になる。

ところがせっかく希望の大学に進学して小澤征爾氏の指導を受けるも周りのレベルもすごく、プレッシャーとストレスで体を壊してしまった。そこで思い切って学校の近くに下宿して勉強時間を確保、毎日図書館にこもって勉強して200曲以上のスコアを暗譜。この暗譜のレベルが、五線譜を渡されたらすべての音符を全部書けるところまで!自信家に見えるが本当に自信があるんだ。これまでお坊ちゃまと思っていた飯森氏だったが、周囲の雑音に迷わず、信念をもって自ら道をきりひらいた努力家なのがわかる。

勿論、彼に備わっているのはそれだけではない。
高い音楽性、明確なヴィジョン、優れた統率力とカリスマ性、おまけに芸術家にも関わらず金銭感覚や経営能力も抜群。芸術家にありがちな、プライドが高くて経営や生活に無頓着な変人でもなく、非常にバランス感覚にたけた方でもある。まさに指揮者になるべくして生まれた人材、と実感するのが本書における山形交響楽団との挑戦である。
この続きは、また明日。。。

追記:それにしても、この後姿のお尻がかっこいい、とほれぼれするのは私だけか。

本編「マエストロ、それはムリですよ・・・」


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