千の天使がバスケットボールする

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『ファースト・ポジション』

2013-02-06 22:12:46 | Movie
本当に跳んでいる!今年のローザンヌ国際バレエコンクールで、日本人の18歳の山本雅也さんが3位に入賞した。
今回ボランティアで審査員に参加した熊川哲也さんによると、同コンクールは若いダンサーにキャリアの扉を開いてくれる世界唯一の最高水準のコンクールだそうだ。ところで、この有名なローザンヌ国際コンクールに比べて、今ひとつ知名度が低いが、バレエダンサーをめざす子供たちにとって難関だが挑戦のしがいがあるのが、ユース・アメリカン・グランプリ(YAGP)である。

YAGPは、毎年世界中から9歳から19歳までの5000人を超える応募者から予選で選ばれて、NYの最終選考に残るのは200~300人。入賞すれば、世界の名門スクールへの奨学金やバレエ団への入団もある。『ファースト・ポジション』は、その参加者たちの中から、6人のバレエダンサーのまだひよこにもならない卵たちを中心としたダキュメンタリー映画である。

登場する彼らは、人種を含めて多種多様である。内戦で孤児となりアメリカ人夫婦の養女になった黒人の少女ミケーラ、貧しいコロンビアから家族の生活を背負いながら単身NYでレッスンに励むジョアン。熱心な日本人教育ママから、物心両面のそれはそれで大変そうなサポートを受けるミコとジュールズの姉弟。すでに王子の風格のあるアランや容姿に恵まれたレベッカ。彼らは、跳び、舞い、踊る。まだ幼いけれども、プレッシャーと戦い、不安と希望に心をふるわせながら、未来へ向かって踊る。

これだけ多くの参加者の中から監督たちが注目した素材は、素人の私から見てもやっぱり魅力的な”逸材”!。こんなに脚が高く上がるなんて信じられない!わずか12歳で、どうしてそんなに情感豊かに優雅な踊りができるのか。少女なのに、感情表現はあたかも恋の果実を味わった成熟した女性のようで、女指数では完全に私は彼女達に負けている。高いテクニックと繊細で細やかな表情。ダイナミックに、軽やかに、繊細に。バレエに捧げる時間が長く、情熱が濃いほど、彼らの真剣さと必死さが伝わってくる。チャンスは5分。このたった5分のために、バレエという美しい芸術にかけるこどもたち。しかし、バレエダンサーとして華のある舞台をふめる時間は短い。

そんなこどもたちの姿だけでなく、彼らを支える家族や指導者たちの献身的なサポート、見方によっては滑稽にもなりかねないお茶目なパフォーマンスと、主役級の奮闘ぶりにもなかなか素敵。アランに期待して指導しているのは、マチュー・ガニオのパパである。(マチューにそっくりのおじさんだった)ミコの日本人ママも、平均的な母親からするとちょっと熱心過ぎてステージママにみえるかもしれないが、私は彼女の情熱にも共感するものがある。チャイコフスキーの音楽にあわせて踊る男の子を見て、胸がしめつけられる思いがしたと涙を流す彼女の心情もとてもわかる。もっとも、気持ちの切り替えの早さもあっぱれで声をあげて笑ってしまったが。

ところで、その後、フォーガッティー・ミコさんは15歳に成長し、なんと今年のローザンヌ国際コンクールでベスト・スイス賞も受賞していた。映画でもミコさんは容姿も美しく、性格も素直そうで伸びる才能が感じられた。もっと彼女の踊りを観ていたいと感じさせられる将来がとても楽しみなバレエダンサーである。

監督:ベス・カーグマン
2011年アメリカ製作

■アンコール
・世界への挑戦 17歳のバレエリーナ
「テレプシコーラ/舞姫」
「テレプシコーラ/舞姫 第二部3」
「テレプシコーラ/舞姫 第二部5」
「黒鳥」
映画『バレエに生きる』


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