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今回ボランティアで審査員に参加した熊川哲也さんによると、同コンクールは若いダンサーにキャリアの扉を開いてくれる世界唯一の最高水準のコンクールだそうだ。ところで、この有名なローザンヌ国際コンクールに比べて、今ひとつ知名度が低いが、バレエダンサーをめざす子供たちにとって難関だが挑戦のしがいがあるのが、ユース・アメリカン・グランプリ(YAGP)である。
YAGPは、毎年世界中から9歳から19歳までの5000人を超える応募者から予選で選ばれて、NYの最終選考に残るのは200~300人。入賞すれば、世界の名門スクールへの奨学金やバレエ団への入団もある。『ファースト・ポジション』は、その参加者たちの中から、6人のバレエダンサーのまだひよこにもならない卵たちを中心としたダキュメンタリー映画である。
登場する彼らは、人種を含めて多種多様である。内戦で孤児となりアメリカ人夫婦の養女になった黒人の少女ミケーラ、貧しいコロンビアから家族の生活を背負いながら単身NYでレッスンに励むジョアン。熱心な日本人教育ママから、物心両面のそれはそれで大変そうなサポートを受けるミコとジュールズの姉弟。すでに王子の風格のあるアランや容姿に恵まれたレベッカ。彼らは、跳び、舞い、踊る。まだ幼いけれども、プレッシャーと戦い、不安と希望に心をふるわせながら、未来へ向かって踊る。
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そんなこどもたちの姿だけでなく、彼らを支える家族や指導者たちの献身的なサポート、見方によっては滑稽にもなりかねないお茶目なパフォーマンスと、主役級の奮闘ぶりにもなかなか素敵。アランに期待して指導しているのは、マチュー・ガニオのパパである。(マチューにそっくりのおじさんだった)ミコの日本人ママも、平均的な母親からするとちょっと熱心過ぎてステージママにみえるかもしれないが、私は彼女の情熱にも共感するものがある。チャイコフスキーの音楽にあわせて踊る男の子を見て、胸がしめつけられる思いがしたと涙を流す彼女の心情もとてもわかる。もっとも、気持ちの切り替えの早さもあっぱれで声をあげて笑ってしまったが。
ところで、その後、フォーガッティー・ミコさんは15歳に成長し、なんと今年のローザンヌ国際コンクールでベスト・スイス賞も受賞していた。映画でもミコさんは容姿も美しく、性格も素直そうで伸びる才能が感じられた。もっと彼女の踊りを観ていたいと感じさせられる将来がとても楽しみなバレエダンサーである。
監督:ベス・カーグマン
2011年アメリカ製作
■アンコール
・世界への挑戦 17歳のバレエリーナ
・「テレプシコーラ/舞姫」
・「テレプシコーラ/舞姫 第二部3」
・「テレプシコーラ/舞姫 第二部5」
・「黒鳥」
・映画『バレエに生きる』
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