千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

「テレプシコーラ 第2部5」山岸凉子著

2010-12-24 08:33:31 | Book
第2部、ついに・・・ついに完結!かっ?
・・・って、第2部までの一応の完結であって、近々3部が再開されるのだと思っていたのだが、これで本当に終わっちゃうの!?六花(ゆき)を成長させてくれる次のステージへの切符をもたせておいて、さよならとは随分つれないではないか・・・。
しかし、本作は2000年秋から連載を開始して10年がかりの長期連載漫画だったそうで、ここで一度リフレッシュして念入りにリサーチをして次回からの構想をあたためてから、再出発をしていただきたいと勝手なお願いをする。というのも、この続きを連想させてくれる様々な意味深な?伏線が完結版にも感じられるのだが、それは単に物語の彩と展開に無理をきたさないための読者を納得させるための材料に過ぎない、ということはではないと思いたい。

ダイナミックに超絶技巧の踊りを魅せるローラ・チャンの正体は、いったい何者なのか。彼女が次にすすむバレエ学校を選んだ理由は、何故。確かに小学生時代のあの顔だちでは主人公になれなかったかもしれないが、こんなに美しくかっこよく成長したなら、彼女の失踪してからのその後をサイドストーリーとして1冊の本ができる。これまでも、人の裏側の黒鳥のような心理を描くのが得意だった山岸さんに、ローラ物語の執筆もお願いしたい。

NHK朝の連続ドラマだったら、六花については幼い頃は姉の後をついていっただけのぱっとしなかった少女が、その後、悲劇をのりこえて彼女のもっている才能を発掘されて飛躍していくところで一応の結着をみた。しかし、連載されていたのが少女コミックだったらそれでよかったかもしれないが、相手は「ダ・ヴィンチ」の読者だぞ。向井理クンの表紙だけで満足できるはずがない。ここは、女性として恋もして、ハンブルクでの新たな出会いを通して成長していく六花にも出会ってみたいものだ。山岸さんの漫画の最大の魅力は、バレエリーナの鍛えられた肉体を忠実に再現するだけでなく、理論的で格好なバレエ入門書ともなっている点にある。それに、私の中でも「テレプシコーラ」はまだまだ終わっていない。

ところで、振付師というのはそんなにえらいものなのかっ。本作でローザンヌ・バレエ国際コンクールの審査委員長を務めるジョン・ノイマイヤー(John Neumeier)をモデルにしたJ・N氏の発言力は大きかったのは委員長という立場はあるが、もし時代が古典も大事だがコンテンポラリー重視に流れているのであれば、振付師の役割もそれに伴い大きくなっていくのは理解でくるのだが。同じく山岸さんのバレエ漫画の「黒鳥」は、1904年に生まれて「ニューヨーク・シティ・バレエ団」を設立したジョージ・バランシンをモチーフに描かれているのだが、バレエの知識のない私にはバレエを観ても誰がどう踊るのかに殆どの関心を奪われてしまうのだが、この作品からは自分の振付を踊らすために誰が必要かという独裁者のような芸術家のエゴが伝わってくる。クラシック音楽で言えば、音楽を解釈してオケを振り自分の思うがままに楽譜を再現する指揮者の権威にも通じるところがあるようだ。

さて、来年のローザンヌ国際バレエコンクールは、2月1日から6日に渡って開かれる。予選を通過された方の名簿の国籍には、ChinaとJapanが随分めだつ。音楽だけでなくアジア勢の台頭が実感させられるのだが、コンテンポラリーの充実に伴う男子の健闘も最近のコンクール・シーン。現実のバレエ界でも六花や茜ちゃん、大地君のような将来が期待される名花や大器が登場するのか。楽しみがふえた。

■アーカイヴ
「テレプシコーラ/舞姫」
「テレプシコーラ/舞姫 第二部3」
「黒鳥」


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2 コメント

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樹衣子さんへ (xtc4241)
2010-12-26 10:51:41
おはようごさいます(いま12月26日10:40頃です)

山口涼子さんのバレエ漫画。
とても、思い入れが強いんですね。
近くの本屋さんで見ましたが、なかったです。
会社ちかくの大きな店舗に行こうと思います。

バレエと言えば、周防正行監督の新作は「ダンシング・チャップリン」という映画。
「美しいものが見たかった。この映画はバレエ入門である」といってます。
主演は奥さんの草刈民代さん(笑)
「ブラック・スワン」といい、この「ダンシング・チャップリン」といい、
必見ものが多いですね。

PS)
「エンタメからアートへ」って題で、ブログを書きました。よければ、見てください。
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周防正行監督 (樹衣子)
2010-12-26 16:31:24
こんにちは、今は16時はあっという間に日も暮れそうな魔の刻です。

>周防正行監督の新作は「ダンシング・チャップリン」という映画。
「美しいものが見たかった。この映画はバレエ入門である」といってます。

情報ありがとうございます。これも必見です。
有名なバレエリーナを妻にするのもなかなか大変だと思うのですが、芸術を愛する男性は妻にも一途なのでしょうか・・・。^^

山口さんのバレエ漫画は本当におもしろいです。最近は、踊っている姿以外は、手を抜いている感もしますが。

>「エンタメからアートへ」

承知しました。
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