千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

世界への挑戦 17歳のバレリーナ

2012-03-06 22:44:21 | Nonsense
今年の2月に開催された 「第40回ローザンヌ国際バレエコンクール」で日本人の菅井円加さんが1位に輝いた。
バレエ界でのアジア勢の台頭に伴い、日本人も同コンクールに入賞するのが珍しくなくなった近年だが、今回の菅井さんについては、
「円加のクラシックは、円熟した完成度の高いもので驚いた。同時にコンテンポラリーの表現も素晴らしかった。一般にダンサーはクラシックかコンテンポラリーのどちらかにより優れているものだ。ところが円加の場合は両方に優れている。両者に境界線を引かず、両方必要だと知ってもいる。今後のダンス界を象徴するようなダンサーが登場した」
と審査委員長のジャン・クリストフ・マイヨ氏が絶賛したことが格別なインパクトを与えた。又、この発言から、日本にいると従来からの「白鳥の湖」のような古典ものが中心になりがちなバレエだが、世界の潮流は華やかなチュチュを脱ぎ捨てたコンテンポラリーとのふたつの潮流があり、どちらの流れでも高い技術性と芸術性をあわせもって泳げるバレエダンサーが求められていることを実感した快挙でもあった。

そして、日本でもおなじみで、菅井さんにとっても憧れのダンサーでもあり、審査員のひとりでもある吉田都さんも「舞台がはじまった頃からとても踊りを楽しんでいる雰囲気で急に輝きだした。」と語り、世界で活躍できる大型ダンサーと実感をこめて彼女に期待を寄せている。

さて、そんな菅井さんをはじめとした今年の入賞者による数々の素晴らしいダンスをかいま観られたのが教育テレビで放映された「世界への挑戦 17歳のバレリーナ」ローザンヌ国際バレエコンクールだった。菅井さんはクラシックでは「“ライモンダ”第1幕 夢の場からライモンダのバリエーション」を踊った。素顔は普通のむしろ地味めな女子高校生の雰囲気なのだが、踊っている姿はとても可愛らしく、しなやかな動きが爪の先まで音楽にぴったりあっている。細部までリズムとメロディーの流れにのっている。しかし、彼女の本領を発揮したのは、やはりコンテンポラリー部門のストラヴィンスキー作曲による「リベラ・メ」だったと思う。吉田都さんは舞台で感じる彼女のダイナミックさは、映像ではわからないと断言していたのだが、確かにわからないが審査員たちがどよめくようなダイナミックさは想像できた。上野水香さんのようなバレエをするために生まれてきたような容姿ではないが、身体能力がとても高い方だと感じる。

ところで、最後に登場したのが第17回のコンクールで金賞を受賞した熊川哲也さん。
このコンクールで優勝することは、今後のバレエ人生には全く関係がない(要するにダンサーとしての単なる通過点である)とのコメントを残していた。確かに、国をあげてダンサーを養成するフランス人などの参加は少ない。だいぶ前からローザンヌ国際バレエコンクールで日本人の姿を見かけると感じていたのだが、何と、日本全国に約5000のバレエ教室があり、バレエを習う方は40万人にも上るそうだ。民間運営とはいえ、この層の厚さが菅井さんのような大器を育てたのだろう。
そして、番組で流れた10代のクマテツさんの「“ドン・キホーテ”第3幕からバジルのバリエーション(抜粋)」の凛々しいを観ながら、この人は踊ってもすごいが踊らなくてもすごい人だとつくづく感じる。ともあれ、留学後の舞姫の今後の素晴らしい踊りが楽しみである。

■アンコール
「テレプシコーラ/舞姫」
「テレプシコーラ/舞姫 第二部3」
「テレプシコーラ/舞姫 第二部5」
「黒鳥」



最新の画像もっと見る

コメントを投稿