人工飼育のアホウドリ、太平洋を渡る

時事ドットコム

絶滅寸前のアホウドリを、人工飼育して繁殖させようという地道な試みが続いている。

ひなの成長を心配する人々をヨソに、アホウドリの一羽が、人々をアッと言わせる偉業をなしとげた。

山階鳥類研究所（千葉県）が発表したところによると、今年５月に東京・聟島（むこじま）の人工繁殖地を巣立ったアホウドリが、米国・サンフランシスコ沖で確認されたという。

ひなの背中に付けた衛星発信器の追跡結果から、アラスカ湾などを経由して２万６０００キロ以上飛行したことも判明しているらしい。日本からアメリカ西海岸に行くためには、アラスカを経由するルートが近いのは、人間の間では有名な話だが、どうやら、鳥も知っていたようだ。

アホウドリは、鳥の中でも大型の種だ。羽を広げてグライダーのように滑空し、「アホー、アホー」と言いながら、大海原を越え、大陸から大陸へ、軽々と渡る。ほれぼれするほどスケールの大きな生物だ。太古の巨大な翼竜に、最も近い飛行生物とされる。

日本では絶滅したトキも、中国から贈られた種を人工繁殖させることにより、着実に復活しつつある。鳥類王国・日本の復活は近い・・・。