ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

認知症の治療を受けて早や二年 

2013年03月07日 | 健康
 ☆ 都立松沢病院の「公開講座・認知症と向き合う~診断治療・対応」
 先日認知症専門医長、新里和弘先生の講演を聞きに行った。
新里先生は二年前に夫を「認知症」と診断された先生なので、私はぜひお話を
聴きたかった。広い会場は中高年の男女が溢れんばかりで、認知症に
対する意識の強さがつぶさに感じられた。
 認知症とはどんなものか、脳の海馬など器質的な説明、薬の説明、進行状態
その対応法など、実に詳しく、きめ細かくお話し下さった。
 またこれから80歳以上は4人に一人、85歳以上は3人に一人が認知症になる
時代と言う現実に、ますます寿命が延びている現代は、とても対岸の火事ではない
と実感できた。これからは介護保険を適用し、社会全体で見守らなければならない
としめくくられたが、少しは知識がある私も大変勉強になった。
 まして、初めてお話しを聞いた方は、「認知症」をかなり理解できたのではないかと
思った。その知識があるのとないのとでは、その対応の仕方がまったく違うはず。
 
 ☆ 二年後の今
 夫は治療を受けたのが比較的早かったためか、日常生活にはほとんど支障がない
のは、長年心臓の持病がありながら、毎朝ウオーキングをする良い習慣を続けて
いるためだろう。また、妻の私の対応の仕方も、かなり影響していると思う。
 新里先生は「安心感を高める方向に接するように」とお話しなさったが
だんだん記憶力や判断力が無くなっていく夫が気の毒でならない。
「00は全然覚えていない」と、時々不安そうに言う彼に、「大丈夫、私がシッカリ
覚えているから、だから何でもわたしに言ってね」「何度でもお答えしまーす」
などと、茶化して言ったりする。
 また、認知症と診断された時、「認知症は病気だからちっとも恥ずかしいことじゃ
ないから、隠さないでみんなに言ってね。その方が理解してくれるし、きっと注意
して貰えるから」と、私は夫に言った。
 すると、開放的な彼は、「オレ今松沢病院へ通ってるんだ」など、朝の仲間や知人達
にも平気で話しているので、そのため、みんな夫が認知症であることを知っている。
 私が何故か導かれるように、心理カウンセラーになったのは、もしかして、このことの
ために定められていたのかも知れない。
 そのお蔭かほとんどイライラしないが、それはプロとして当然かもしれない。
私は同じことでも何度でも答えるし、忘れても決して責めたりしない。

 また出来るだけ彼の話を引き出すようにする、力がない私は缶詰が開けられないし
野菜が切れないことが多いが、すぐに手伝って貰って、「有難う」「助かるわ、ヤッパリ
あなたじゃなければダメね」と、必ずほめたり、感謝の気持ちを表すことにしている。
 また、たとえ回答が得られなくても、些細な事も相談するようにしているためか、以前の
ように穏やかで、やさしい夫とあまり変化はない。
 また、幸いなことに良い先生に巡り合い、多分これから一生お世話になれるので、大変安心
で心強いのは有難いことだ。それに精神科の診察室での状況は大変関心があり、またお若くて
素敵な先生にお目にかかれるのも、実は内心密かな楽しみでもある。
 でも一抹の不安感はあるので、今できる重要なことは先延ばししないようにしている。
いずれにしても長丁場なので、私自身の精神状態も考慮して、適度に息抜きし、ストレスを
溜めないようにしている。
 毎日「今現在の状態のままでいて欲しい」と、祈るような気持ちで夫と接している。

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