竹と遊ぼう。伊藤千章の日記、

小平市と掛川市の山村を往復して暮らし、マラソン、草花の写真、竹細工、クラフトテープのかご、紙塑人形の写真があります

スペイン巡礼 その14 カール・グスタフ・ユング

2016-07-12 20:42:29 | スペイン巡礼

6月7日 ベロラドからアヘス

友達と歩いている74才のフランス人の女性がいます。田舎の農婦の感じで重い荷を背負って歩いています。英語は全くわからず友達がちょっと解る程度、でも私がコマタレブ?と聴くと喜んで答えていました。次に会った時月の光というフランス民謡を歌うと、一緒に歌いました。歌は大きなコミュニケーションの手段ですね。

絵本作家は本当にごく普通に人に良くしています。細かいかねの計算などしないのです。本当に喜んでするのです。カトリック精神でしょうか。でももともとそんな広い心を持っているのでしょう。彼に教わることは沢山あります。本当にいい人と旅をしています。彼がドン・キホーテなら私はサンチョパンサ、ケチで小心な男、でも歌うサンチョならいいですね。マロニエの花が咲いていました。名も知らない花も。本当に素敵な旅です。

彼と話すと共通の話題が出て来ます。それは精神病理学者のカール・グスタフ・ユングです。彼は若い頃、悩み事があって、たまたまユングを読んで衝撃を受けました。そこでスイスのユング研究所から帰国して間もない河合隼夫を訪ねてカウンセリングを申し込みました。でも彼が絵本作家なので領域が近いので同じ研究所をでた秋山さと子を紹介されました。二人ともユング研究では有名な人です。彼にとってユングは自分の問題なので真剣です。

 

私は若い頃キリスト教異端のグノーシスへの関心からユングを読み始めました。でも私のはちょっとかじっただけでユングから離れました。今ではユングは人気がありません。でもユングはキリスト教やフロイトを超えた精神の深奥を求めていました。

自分の体験からユングを求めた絵本作家には敬意を表します。私は反現代資本主義の立場からキリスト教よりはるか以前のアニミズムに関心を持ち、自分の職業に絡めてカゴアミニズムと冗談に自称しています。彼とは深い因縁を感じます。

キリスト教について私は中世南フランスの異端カタリ派に関心を持っていました。彼らはカトリック教皇庁とフランス国王によって絶滅させられました。ミサに出て思うのは愛と隣人への優しさです。それは自ら進んで良きことをしようという愛です。これは世界中にキリスト教を広めようというかってのカトリックにつながります。でもそれはスペインやポルトガルの世界征服を伴いました。かってのスペインの栄華は田舎町の小さな教会にも残されています。このキンキラキンの祭壇は世界中から集めた財宝の結果です。人間のやるすべてに善悪両面があります。その両面を感じながら旅を続けます。