竹と遊ぼう。伊藤千章の日記、

小平市と掛川市の山村を往復して暮らし、マラソン、草花の写真、竹細工、クラフトテープのかご、紙塑人形の写真があります

ペイン巡礼 その9 仲たがい

2016-07-07 19:42:46 | スペイン巡礼

6月2日 エステッラからロスアルコスへ  この日も道は畑作地帯が中心です。昨夜の宿のそばにロバが立っていました。そばにテントがあります。ロバと一緒に旅している人でした。そのほか犬と一緒の人もいました。そんな人はテント暮らしです。アルベルゲのそばに泊まってシャワーだけ使わせてもらうようです。

この日のある木陰では、二人の男女がギターを弾いていました。そんな時はこちらも座り込んで音楽に聞き入っています。客の様子に応じて皆の知っている曲を演奏していました。日本の曲はなかったですけど。

毎朝早く宿をでて薄暗い道を歩きます。そんなとき近くで必ず小鳥がさえずっています。カッコウの声が聞こえることもありました。道端にカモが出てくることもありました。牧場には羊や牛がいます。草花もいろいろで生き物に満ち溢れた世界です。

このところ韓国人の若者たちとよく出会います。女子学生二人と男子学生の三人組です。巡礼ではアジア人では日本人より韓国人が多く歩いています。テレビドラマで放送されて以来巡礼が流行っているそうな。昨夜その子たちに絵本作家のO氏が50ユーロ渡して、今夜の宿で一緒に食事会をやるから、材料を買っておいてくれ、作るのはO氏とU 氏がやるから、ということでした。彼らが時には1日二食しか食べない貧しい学生だから、ご馳走してやろうというのです。50ユーロは私達3人が分担します。

私はちょっと変だと思いました。韓国の3人の学生たちは明るくてとても感じのいい子たちです。でも22,3歳で巡礼に来る青年たちは本来貧しくなんかありません。巡礼となれば質素に暮らすのが当たり前、先が長いのです。何があるか分かりませんから。他の二人の仲間は裕福なのでしょう。でも私は・・・・・できるだけ安く上げようとしています。でもまあ旅の仲間です。それにかって日本は韓国に対して悪いことをしました。そんな日本人の印象を少しでも良くするためならと思い、お金を分担しました。その時U氏が余ったお金は返してくれと学生たちに言ったのがO氏の気に入らなかったようです。ほんの僅か返ってきただけですから、最初から全部上げてしまえばいいというのです。

 

その辺から二人の仲はギクシャクしてきたようです。私は出した以上はおまかせ、糖尿もあることだしあまり食べられませんが、気持ちよく食事が出来ればいいと思っていました。料理は二人が作ったのでせめて何か芸をと思い、韓国語の歌「別離」イピョルを韓国語で歌い、喜んでもらいました。私にとって韓国は好きな国の一つです。韓国人も性質かくっきりしていて表現も活発です。日本人はどちらかと言えば内気で遠慮深い、そして男性はエバリンボーが多い。

旅の間に知り合って仲良くなった人に、ドイツ人の一人旅のカーステンがいます。3度ほど同じ部屋になったことがあって、少し仲良くなりました。今は中米の島に住んで不動産の紹介業をやっている、ニューヨークで妻と一緒になるとのことでした。ドイツ人と日本人は気質が少し似ているような気がします。

O氏とU氏は四国遍路で知り合った仲です。四国遍路では普通の旅館やお寺の宿坊に泊まります。主に個室ですから一泊5000円以上します。そんな旅行に慣れている人たちです。私は四国遍路の時はテント寝袋持参で、3,4日に一度だけユースホステルや国民宿舎に泊まっていました。アルベルゲのような安い宿はありませんでした。善根宿というのがところどころにありますが、自分が泊まろうとする場所にあるわけではありません。だから遍路の経験は私とは全く違うのです。二人は贅沢遍路でしたし、ここでも洗濯は機械におまかせの贅沢巡礼でした。

そんな私ですから、一番外されやすいのは自分だろうと思っていました。足が丈夫、それだけが取り柄の人間です。もともと一人旅が好き、花も小鳥も空も畑もとってもよくて、おまけに教会のミサも好きです。人間世界のことはどうでもいいのです。この3人旅、どうなっていくでしょうか。