九州の風来坊

今は自由人で風来坊、何処までも突っ走る男は何処に行くのやら

天国から届いた一通の手紙

2010年07月07日 13時03分30秒 | Weblog
宇田は自分が長く生きられない事を察し俺と娘に手紙を書いていた。
俺は短い間に宇田に多くの事を教えた。それは自転車競技選手として闘う為に必要な事と、人生を闘いぬく為の心構え、どんな試練にも耐え抜き、動じない心、勝負に生きるノウハウを叩き込んだ。この事を最後まで貫くと書いている。
俺は女子選手の面倒は見たくは無い、これが俺の本心だった。しかし宇田が練習する為に俺の元に通い、辛い練習に耐え抜く姿、そのうち逃げだすと思っていたがどんどん強くなって行く姿。その心意気が俺の心を突き動かした。
その教えを最後まで貫き通した宇田。もっと世界を見たかったけれど無念さはありませんと綴る言葉。
娘に最後まで心配かけました、でも違う世界で生きる娘とかかわりあえて嬉しかった。有難う締めくくってある。
俺は最近まで強くなる為のノウハウや理論を人に教えた事は無かったが、最初の生徒で一番弟子の宇田には教え始めていた。そんな強力な弟子が俺の前から居なくなった。
何時も何時も俺の人生は何故壮絶なんだと思う事が多い、多くの友人が癌に侵され無くなり、癌のおかげで俺の最後の最後の選手生活にまで影響を与える、最後に弟子までが。
俺は今、神も仏も信じない、今ある力で強力に引っ張って行くだけだしか考えない。
そして宇田は最後に俺の教えを次世代に渡してくれと書いてあった。
天国から届いた手紙は俺の元にあるが、娘は天国に届かない手紙を持っている、その手紙違った形で俺が届けてやる。
なぜか今涙が止まらない。