きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

キーワードで見る資本論⑦ 「第1章 商品」から 商品世界の物神崇拝

2020-05-28 08:08:32 | 働く権利・賃金・雇用問題について
キーワードで見る資本論⑦ 「第1章 商品」から 商品世界の物神崇拝
「商品が使用価値である限り〔人間の諸欲求を満たすという点から見ても、人間的労働の生産物だという点から見ても〕商品には神秘的なものはなにもない」(新版①128ページ)。ところが、商品が交換のために市場に登場するやいなや、「謎的性格」を生じるとマルクスは言います。
異なった使用価値を持つ商品、例えば机とカーテンがなぜ同じ価値を持つものとして交換されうるのか。それは、それぞれの商品を生産するのにかかった平均的な人間の労働時間が同じだということにあります。しかし市場では、商品に投入された人間の労働が背後に隠れ、ある商品の価値が、まるでその商品がもともと持つ自然な性格のように見える―マルクスは「労働時間による価値の大きさの規定は、相対的な諸商品価値の現象的運動の下に隠されている秘密である」(同135ページ)と指摘します。
資本主義社会では、生産者がそれぞれ独立して生産した物を交換しますが、そうした人と人との社会的な関係が「物と物との関係という幻影的形態」(同131ページ)をとり、資本主義的搾取を含め、人間労働の社会的な現実が人の目から隠されます。マルクスはそれを「物神崇拝」とよびました。この解明はマルクスが初めて行ったものです。




こうした社会は人類史で普遍的なわけではありません。マルクスは、ロビンソン・クルーソーの孤島、農奴と領主との階級関係を基本とする中世ヨーロッパをあげ、これらの社会では「商品世界のいっさいの神秘化」は「消えうせる」(同136ページ)とのべます。
ロビンソンの場合はそもそも商品交換はなく、自分の労働と生産物の関係は明白です。中世の農奴にとっても自分の労働力の一部をただで領主に差し出すことははっきりしています。人間関係が物の関係に置き換わり、搾取のあり方が目に見えないのが資本主義社会ですが、この“入れ替わり”は永遠不変ではないと示したのです。
ロビンソンの孤島、中世の社会に続いてマルクスは、「共同的生産手段で労働し自分たちの多くの個人的労働力を自覚的に一つの社会的労働力として支出する自由な人々の連合体を考えてみよう」と未来社会を提起します。マルクスは、この連合体が生み出す社会的生産物の分配の仕方は「歴史的発展程度」に応じて変わるとしたうえで、労働時間を尺度にするならば、生産者の労働と労働生産物の関係は「簡単明瞭」で、物神性の「神秘のヴェール」は消えると展望しました。
(西)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年5月25日付掲載


あらゆる人間の生産物が「商品」として売買される資本主義社会。
市場では、ある商品の価値が、もともともつ自然の性格のように見える。
そこに、投入された人間の労働の価値が隠れてしまっている。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 性別なくても大丈夫♪④ 第3... | トップ | 新型コロナ感染防止 ベトナ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

働く権利・賃金・雇用問題について」カテゴリの最新記事