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戦前の国債大発行の教訓 軍事費増から物価高騰172倍

2022-07-22 07:08:12 | 予算・税金・消費税・社会保障など
戦前の国債大発行の教訓 軍事費増から物価高騰172倍
藤田安一 ふじた・やすかず1952年生まれ。鳥取大学名誉教授(経済学)。鳥取地域自治研究所理事長

今回の参院選で、自民党は軍事費を5年で2倍以上にする、すなわち現在の5・4兆円を11兆円以上にすると公約しましたが、岸田文雄首相は、その財源を示していません。軍事費倍増を主張する日本維新の会も同様です。それを実現しようとすれば、消費税などの増税か社会保障費などの削減、あるいは借金(国債)で賄うしかありません。
故安倍晋三元首相は、いち早く「国債で対応すればいい」と発言。「日銀は政府の子会社」「政府は日銀とともにお札を刷ることができる」とも述べ、日銀を利用して国債の発行を積極的に進める意向を示していました。
今後、このような安倍氏の考えを岸田政権が継承し、現在すでに1000兆円を超える借金を抱えている日本でさらに国債の大量発行が進んでいけば、どのような結果をもたらすのでしょうか。その答えは、すでに戦前1930年代の高橋是清蔵相が推進した積極財政のなかに求められます。




日銀から得た資金活用図る
1930年代初頭、わが国は満州事変の勃発と世界大恐慌の影響を受けた未曽有の経済不況である「昭和恐慌」の真っただ中にありました。これを背景に、1931年12月に成立した犬養毅内閣の大蔵大臣・高橋是清は、わが国の財政政策を従来の緊縮財政から積極財政へと大きく転換させました。以降、1936年の二・二六事件で軍部によって高橋蔵相が暗殺されるまでの財政政策は「高橋財政」と呼ばれています。
高橋蔵相は昭和恐慌からの回復を、金輸出再禁止(金本位制の停止)を前提に、低金利政策と大量の国債発行によるインフレ政策に求め、日本財政史上初の赤字国債の大規模な発行に踏み切りました。
なかでも特に注目されるのは、国債の発行にあたって、政府はそれまでは民間銀行に引き受けさせていた国債を、今度は直接に日銀に引き受けさせたことです。この日銀引受国債発行制度によって、政府は日銀から手に入れた資金を活用し景気回復を図ろうとしました。
日銀を利用したことによって、迅速かつ大量の国債の発行が可能となり、その資金が企業に流れて経済活動を活性化させ、軍需景気にも押されながら、日本は他国に先駆け恐慌から脱出することができました。
しかし、この「成功」は長くは続きませんでした。大量に発行された国債が、軍部によって軍事費の調達に利用されていく頃から、急激なインフレがおこる兆候が生まれてきたのです。

暮らしを圧迫国債紙くずに
なるほど、まだ戦時中には、国家の経済統制によって国民に節約や貯蓄を促す政策をとり、社会に流通する貨幣量を抑制したので、爆発的なインフレに発展することは免れました。
しかし、高橋亡き後、本格的な戦時体制のもとでインフレは進み、敗戦にともなう戦時統制の解除によって一挙に大量の貨幣が出回ったため、物価が急激に高騰するハイパーインフレーションがおこりました。日本の物価は1934~36年の平均と比較して、1946年8月には21倍に、1948年6月にはなんと172倍にも達しました。
その結果、この物価高騰によって戦時中に累積した膨大な国債は紙くず同然と化し、政府による借金返済の負担は一挙に解決されました。他方、激しいインフレによる物価の高騰は、終戦直後の物資不足や食糧不足と重なって国民の生活を苦しめました。
それだけではありません。激しいインフレで原材料が日々高騰するために、企業はまじめに製品をつくるよりも、手持ちの原材料を売る方が手っ取り早く利益を上げることができました。こうした事情も、戦時中の爆撃によって受けた被害に加えて、戦後企業活動を遅らせた原因ともなったのです。
図は、高橋是清が大蔵大臣に就任した1931(昭和6)年以降、「高橋財政」によって国債発行が急増していることを示しています。同時に、わが国が太平洋戦争に突入した1941(昭和16)年以降には、対GDP比の国債残高が200%を超える勢いで伸びていったことを表しています。現在日本の国債残高は、すでにこの戦時中に匹敵する規模であることに注目すべきです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年7月19日付掲載


すでに、太平洋戦争末期と同じレベルの国債依存率。国債発行総額は、GDPの2倍を超えています。
日本の国債は、ほとんど国内で消費されているので大丈夫だなんて言っておられません。
国内消費と言っても、民間で買い取っているのではなく、ほとんど日本銀行が引き受け。異常な事態。
そのうえに、軍事費2倍化を国債で賄うとすれば、モラルハザードもはなはだしい。

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