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経団連 「経労委報告」を読む④ 労働法制骨抜き狙う

2024-02-16 07:08:36 | 働く権利・賃金・雇用問題について
経団連 「経労委報告」を読む④ 労働法制骨抜き狙う
中央大学教授 松丸和夫さん

経団連は、「経労委報告」と同じ1月16日に「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を発表しました。「柔軟な働き方」を看板に、裁量労働制や高度プロフェッショナル制の拡大を図る経団連は、ついに、現行労働基準法の定める過半数代表制等の見直しを「労使自治」の美名のもとに3点にわたって要求しています。

規制の適用除外
一つ目は、労働時間規制のデロゲーション、適用除外です。過半数を代表する労働組合が存在する場合の裁量労働制や高度プロフェッショナルの対象業務について、現行の限定的で厳密な運用を、さらに弾力化しようとするものです。
二つ目は、過半数労働者を代表する労働組合がない場合、労使協創協議制の創設を提唱しています。大多数の労働組合が、企業の正社員だけを組合に組織している現状の企業別組合では、確かに非正規雇用労働者や直接雇用関係のない派遣労働者の声は、反映しにくいからです。
三つ目は、就業規則作成時における過半数代表組合か過半数代表の意見聴取等の単位の見直しを提言しています。労働基準法では、「事業場」単位の意見聴取を使用者の義務にしています。その論拠を、労働契約法や育児・介護休業法などが、企業単位の規制であること、テレワークなど事業場外で働く労働者の増加など、事業場単位の規制だけでは不十分という指摘です。
こうした経団連の要請と連動して、厚生労働省労働基準局長は、早くも1月23日に「労働基準関係法制研究会」を学識経験者を集めて開催しました。これに先立ち、厚労省がとりまとめた昨年10月の「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書がその先導役を務めました。そこでも、労働基準法制の今後の方向性が示されています。



労働条件の改善を求めてストライキを行う医療労働者と支援者ら=2023年3月9日、東京都目黒区

「労使自治」掲げ
労連と労働法制中央連絡会は、2月1日に会合を開き、経団連の要請を「『労使自治』による労働(時間)法制の適用除外の拡大」と本質を晃抜き、労働法の根幹を破壊するもくろみと厳しく批判しています。
構造的な賃上げを認めるかに見える「経労委報告」貫かれているのは、今日まで労働者と労働組合がたたかいによって勝ちとった労働基本権、労働法制を骨抜きにし、労使関係を「予定調和」的なものに変更しようとする姿勢です。
50年前の大幅賃上げの際には、労働組合等のストライキは、半日以上のストライキ件数が5197件、争議行為参加人員数が362万283人とピークに達しました。それ以降、ストライキ件数・参加者数の低下にともない、賃上げ率も急速に低下しました。春闘をストライキでたたかう意義を再度確認すべき時です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月15日付掲載


労連と労働法制中央連絡会は、2月1日に会合を開き、経団連の要請を「『労使自治』による労働(時間)法制の適用除外の拡大」と本質を晃抜き、労働法の根幹を破壊するもくろみと厳しく批判。
「経労委報告」貫かれているのは、今日まで労働者と労働組合がたたかいによって勝ちとった労働基本権、労働法制を骨抜きにし、労使関係を「予定調和」的なものに変更しようとする姿勢。

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