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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

改正民法 変わる点は?② 債務不履行のルール 消滅時効を整理 権利知れば5年知らねば10年

2020-04-21 08:11:18 | 赤旗記事特集
改正民法 変わる点は?② 債務不履行のルール 消滅時効を整理 権利知れば5年知らねば10年
弁護士 松本恵美子さん

★契約が守られないときのルール
今回の改正では、契約上の義務が実行されない場合(債務不履行)のルールが変わります。
債務不履行には、次のようなケースがあります。
①実行したくてもできない(例:中古の家の売買契約を結んだが、火事で引き渡し前に家が焼失した)
②実行が遅れている(例:約束の日までに商品を引き渡さなかった)
③実行が不十分である(例:契約で定めた量より少ない納品だった)
④相手方の義務の履行を拒否する(例:商品の受け取りを買い主が拒絶している)
改正前の民法では、債務者(契約上の義務を負う人)に落ち度がないとき、たとえば自然災害で商品が壊れてしまった場合などは、契約の解除はできませんでした。これでは、別の業者と取引をしたくても、先に契約した業者も後に履行する可能性が残っているため、安心して契約を結ぶことができません。
そこで改正法では、債務者に落ち度がなくても債務不履行がある場合は、契約を解除できるとしました。
ただし、債務不履行の程度がわずかなときは解除できませんし、原則として解除前に、約束どおりに履行するよう催促をする必要があります。
また、債務不履行の原因が債権者(契約上の権利を有する人)にあるときは、債権者の方から、債務不履行を理由とした解除ができないと定めました。
債権者が債務不履行による損害賠償を求める場合、債務者に落ち度があることが必要とされていましたが、改正前の民法にはこういった条文がありませんでした。
改正法では、債務者に落ち度がないときは損害賠償を求められないことが、明記されました。


消滅時効の変更
旧ルール 新ルール
債権の種類時効期間原則5年ケースによっては最長10年
医師の診療報酬3年
弁護士の報酬2年
飲食代金1年
動産のレンタル代金1年
商取引債権5年


人の生命や身体の侵害による損害賠償請求権
例 事件・事故によって被害者がけがをした場合
損害および加害者を知ってから5年
事件や事故などが起きたときから20年


★債権の消滅時効の変更
権利を行使しない状態が一定期聞続くと、権利の行使が認められなくなる制度を消滅時効といいます。
改正前の民法では、債権の消滅時効は原則10年でしたが、さまざまな例外がありました。
商取引で発生した債権は5年、ビデオやバッグなど動産のレンタル代金やホテルの宿泊代金などは1年、習いごとのレッスン料や弁護士報酬などは2年、医師の診療報酬や設計料などは3年、などと複雑でした。
改正法では債権の種類を問わず原則、権利を行使できることを知ったときから5年、権利を行使できることを知らない場合は、権利を行使できるときから10年と、消滅時効を整理しました。、
例外としては、人の生命や身体への被害についての損害賠償請求権があります。損害および加害者を知ったときから5年、事件や事故などが起きたときから20年と、消滅時効期間が長くなっています。(表参照)

限られた紙面で詳細な規定をわかりやすく伝えるには、限界があります。何か問題に直面した際には、ぜひお近くの弁護士にご相談ください。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月18日付掲載


債務不履行のルールは、改正されたとはいえ難解。
債権履行の時効の期間が統一化されたことは、嬉しいですね。長くなることはあっても、短くなることはないのですから。

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