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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

改正民法 変わる点は?① 取引に関するルール 「締約約款」の新設 法定利率変更 賃貸借契約の条文化

2020-04-20 08:06:48 | 赤旗記事特集
改正民法 変わる点は?① 取引に関するルール 「締約約款」の新設 法定利率変更 賃貸借契約の条文化
弁護士 松本恵美子さん

民法の契約に関する規定が、120年ぶりに見直されることになりました。どんな点が変わるのでしょうか。弁護士の松本恵美子さん(東京・代々木総合法律事務所)が2回に分けて解説します。

今回、改正され施行されたのは、取引に関する最も基本的なルールを定めた部分です。1896年の制定以来、実質的な見直しがほとんどありませんでした。
そこで社会の変化に合わせてルールを変え、裁判や取引の実務で既にルールとなっていることを、条文上も明らかにするための改正が行われました。ポイントを紹介します。

★顧客に不利益な「定型約款」の変更は事前通知が必要に
新設されたものに「定型約款」についての規定があります。
「定型約款」とは、不特定多数(顧客)を相手として取引を行うために、特定の者(事業者)が契約内容を画一的に定めたものです。保険約款、電気・ガスの供給約款などがそうです。
顧客が定型約款の具体的な内容を現実に認識していなくとも、定型約款を契約の内容にすることに合意したり、取引の際に定型約款の内容を表示したりしていれば、定型約款の内容が契約内容になります。
不特定多数を相手とする画一的なものですから、内容は合理的でなければならず、顧客の利益を一方的に害するような不当な条項は無効です。
定型約款の変更は、顧客にとって一般に利益と考えられる場合や、変更が契約の目的に反することなく、変更することに合理性があるときに認められます。顧客にとって必ずしも利益にならない変更については事前の周知が必要になります。

★賃貸借物件の借り主が自分で修繕してもよいことを明記
借りている建物などが借り主の落ち度がなく壊れて一部使えなくなった場合は、使用できなくなった部分の割合に応じて賃料を減額できます。一部壊れたことで使用できなくなったときは、借り主から契約を解除できるようになりました。
借りている建物が修理しないと使えないとき、貸主に修繕義務がありますが、すぐに修繕してくれない場合に、借り主が修繕できるのかが問題になっていました。
改正法では、借り主が自分で修繕してもよいことが明記されました。たとえば、①修繕が必要であると貸主に通知したのに、相当の期間内(業者に修繕を依頼するのに必要な期間)に必要な修理をしないとき、②急迫の事情のあるとき(例:借りている建物が雨漏りをしているのに、数日内で大雨の予想が出ているとき)、でず。
また建物の賃貸借契約で、退去する際の原状回復義務や敷金の規定が新設され、原状回復の対象、敷金の定義や返還についても明記されました。(イラスト参照)



賃借人の原状回復義務
退去時の賃借人の原状回復義務には、通常損耗や経年変化は含まない
【通常損耗・経年変化に当たる例】
●家具による床やカーペットなどのへこみ(設置跡)
●テレビや冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)

【通常損耗・経年変化に当たらない例】
●引っ越し作業で生じたひっかき傷
●日常の不適切な手入れ、もしくは用法違反による設備などの破損
●たばこのヤニ・臭い
●飼育ペットによる柱などの傷・臭い

★法定金利を3年ことに見直し
借りたお金の返還が遅れたときなどの遅延損害金は、当事者間で定めることができます。そのような定めがないときは、法律で定めた法定利率が適用されます。改正前の民法では年5%、商行為 より生じた債務は商事法定利率で年6%と定められていましたが、銀行の金利等がとても低くなっている現状に合わず、不合理な状態でした。
そこで商事法定利率を廃止し、民法に一本化しました。法定金利を3年ごとに見直す変動金利制として、4月1日から年3%になりました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月17日付掲載


民法の契約に関する規定の見直し。なんと120年ぶりなんですね。
賃貸住宅から退去するとき、経年劣化による畳や壁の傷みは以前からよく問題になってきました。
今回、法律の条文で、それは借主の責任でないと明確にされたことは良いことですね。

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