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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

もろい日本経済① インフレ・物価高が襲う

2022-04-22 07:12:08 | 経済・産業・中小企業対策など
もろい日本経済① インフレ・物価高が襲う
インフレ・物価高が世界を襲う中、日本経済の脆弱(ぜいじゃく)性が際立っています。その現状と原因について、群馬大学の山田博文名誉教授に寄稿してもらいました。

群馬大学名誉教授 山田博文さん

最近の消費者物価は、アメリカで40年ぶりの前年比8・5%の上昇、ユーロ圏諸国でも過去最高の7・5%上昇です。欧米の消費者物価は従来1~2%台の上昇で推移していましたから、現在は深刻なインフレです。
国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界の食料価格指数(2014~16年=100)は3月に過去最高の159・3まで上昇しました。各国の国民生活は食料高騰に直撃されています。
日本は、原油・ガス・原材料・食料の多くを輸入に依存しているので、高騰した輸入物価は企業物価指数を押し上げます。2月には前年同月比で9・3%上昇し、41年ぶりの高水準となりました。
この高騰した企業物価は消費者物価に転嫁され、店頭の食料品価格の高騰を招いています。食卓に上がるパン7・2%、マーガリン9・5%、コーヒー・ココア5・6%などと高騰しています。



ロシア軍の空爆に見舞われたウクライナのヤコプリフカ村近辺の麦畑で肥料を散布するトラクター=5日(ロイター)

ダブルパンチ
世界中がインフレ・物価高に襲われる背景には、以下の事情があるようです。
第1に、リーマン・ショック(世界金融恐慌)や新型コロナウイルス禍に直面した各国政府と中央銀行が歴史的に例をみないほど拡張した財政金融政策を行ってきたことです。各国の財政支出と中央銀行の資金供給量は世界の実体経済(国内総生産=GDP)の成長を大きく上回りました。
不況対策・生活支援の財政支出は必要なことです。しかし増大した中央銀行の資金供給は、民間銀行の企業・家計・投資家などへの貸し出し原資を増やすので、実体経済が必要とする通貨量を超えて過大な通貨が流通し、通貨価値は下落します。そのため、すべての商品価格が上昇する全般的な物価高=インフレが発生します。
中央銀行の資金供給量がどれだけ増大したかは、中央銀行の資産(保有国債や貸出金など)の増大となって表示されます。リーマン・ショック以降、主要中央銀行の資産は激増しました。日銀で約6倍、米連邦準備制度理事会(FRB)で約10倍、欧州中央銀行(ECB)で約6倍に増えました。しかし世界経済(GDP)の規模は1・6倍にしか増えていません。
各国中央銀行から過剰に供給された資金は、民間金融機関を通じて世界各国の各種商品、株式などの金融資産、不動産などに買い向かい、インフレやバブルを起こしました。
第2に、ロックダウン(都市封鎖)など、新型コロナ対策としての人と物の移動制限は、グローバル化したサプライチェーン(供給網)を切断し、商品の供給量が減りました。しかし、需要サイドは各国の財政金融膨張で大きくなっていますから、需要が供給を上回り、その分だけ商品価格は上昇しました。
この価格上昇は、通貨価値の下落によるインフレとは区別されます。国民生活からすれば、インフレに加えて需給のアンバランスによる価格上昇というダブルパンチの物価高に襲われました。




生命維持深刻
第3に、今年2月末に勃発したロシア・ウクライナ戦争は、世界の原油・天然ガス・各種資源大国の対外輸出減と供給減を招き、価格が高騰しました。世界中の全産業の基幹エネルギー価格が高騰したので、この川上の価格高騰が川中の企業物価を押し上げ、さらに川下の消費者物価に転嫁され、世界的な物価高を誘発しました。
ウクライナとロシアの2カ国は世界の穀物取引の4分の1を占めます。国連は、世界が食料難に陥り、すでに過去最高値にある食料品価格が今後さらに22%上昇する恐れがあると推測しています。穀物は生命維持のための代表的な食料です。各国の国民生活、とくに食料自給率が低く輸入に依存する日本の国民生活にとって、今後の物価高の影響は深刻化することが予想されます。(つづく)(3回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月21日付掲載


第1に、増大した中央銀行の資金供給は、民間銀行の企業・家計・投資家などへの貸し出し原資を増やすので、実体経済が必要とする通貨量を超えて過大な通貨が流通し、通貨価値は下落します。そのため、すべての商品価格が上昇する全般的な物価高=インフレが発生。
第2に、新型コロナからの経済回復で、需要サイドは各国の財政金融膨張で大きくなっていますから、需要が供給を上回り、その分だけ商品価格は上昇。
第3に、今年2月末に勃発したロシア・ウクライナ戦争は、世界の原油・天然ガス・各種資源大国の対外輸出減と供給減を招き、価格が高騰。
困窮世帯への経済支援が欠かせません。


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