米の異常事態なぜ(下) 農政でも「対米従属」
日本共産党農林・漁民局次長 橋本正一さん
今回の米をめぐる事態は、わが国の直面する食と農の危機の一端があらわになったものにすぎません。その解決は農業つぶしの悪政を大本から転換してこそ展望が開けます。
今日の農業の危機、食料自給率の異常な低下は「食料は安い外国から買えばいい」として農産物輸入を際限なく自由化し、「競争力のない農業はいらない」とばかりに切り捨ててきた歴代自民党農政の結果にほかなりません。根本にあるのがアメリカいいなり政治です。
米輸入に道開く
1960年代に小麦・大豆などを自由化し、国内生産に壊滅的打撃を与えたのをはじめ、90年代には世界貿易機関(WTO)の農業協定を受け入れ、米まで輸入に道を開き、2010年代に環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定を受け入れたのも、農業や国民の食料よりアメリカ追随を第一にしたからです。
米消費が歴史的に衰退し、水田農業に重くのしかかってきたのは、政府によるアメリカ産小麦の消費推進の影響でもあり、水田の4割近くを減反している時に77万トンもの米輸入を続けているのも、アメリカいいなり政治の象徴です。
もう一つは大企業の利益第一の政治です。輸入自由化は大企業製品の輸出拡大の犠牲を農業に転嫁するためでもありました。米や農業を市場まかせにし、家族農業の否定、種子法廃止などの規制緩和を次々に強行したのは農業での大企業の利益拡大のためでした。
農家への所得補償を否定し、米・農業への国の予算を減らしてきたのは大軍拡や大企業向け予算を最優先しているからです。
いまこの自民党政治があらゆる分野で行き詰まり、国民との矛盾を広げています。米と農業、国民の暮らしに希望ある未来を開くためにも、この政治を大本から転換することが求められます。
【年表】
運動の発展こそ
多くの国民は疲弊する農業・農村を心配し、食の現状に不安を抱えています。そして都市住民の中に「機会があれば農業・農村地域に協力したい」と答える人が7割を超え、若者の中には地方に移住し、就農する人も増えています。利潤追求でなく人間らしい暮らし方、働き方を農業・農村に求める都市住民も増えています。
実際の運動でも、近年、食と農をテーマにした学習会が都市部でも無数に開かれています。食料・農業・農村基本法改定に向けて食や農を守る立場で生協や消費者団体が積極的な提言を出しています。学校給食の無償化・有機地場産の提供などの取り組みも各地で広がっています。
今回の米不足を契機に生産者や流通業者、消費者が共同を強め、米と農業を守る運動を発展させるとともに目前に迫った総選挙でアメリカ言いなり、大企業本位の自民党政治を大本から転換することが求められています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月9日付掲載
1960年代に小麦・大豆などを自由化し、国内生産に壊滅的打撃を与えたのをはじめ、90年代には世界貿易機関(WTO)の農業協定を受け入れ、米まで輸入に道を開き、2010年代に環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定を受け入れたのも、農業や国民の食料よりアメリカ追随を第一にしたから。
実際の運動でも、近年、食と農をテーマにした学習会が都市部でも無数に。食料・農業・農村基本法改定に向けて食や農を守る立場で生協や消費者団体が積極的な提言を出しています。学校給食の無償化・有機地場産の提供などの取り組みも各地で広がっています。
今回の米不足を契機に生産者や流通業者、消費者が共同を強め、米と農業を守る運動を発展させるとともに目前に迫った総選挙でアメリカ言いなり、大企業本位の自民党政治を大本から転換することが求められています。
日本共産党農林・漁民局次長 橋本正一さん
今回の米をめぐる事態は、わが国の直面する食と農の危機の一端があらわになったものにすぎません。その解決は農業つぶしの悪政を大本から転換してこそ展望が開けます。
今日の農業の危機、食料自給率の異常な低下は「食料は安い外国から買えばいい」として農産物輸入を際限なく自由化し、「競争力のない農業はいらない」とばかりに切り捨ててきた歴代自民党農政の結果にほかなりません。根本にあるのがアメリカいいなり政治です。
米輸入に道開く
1960年代に小麦・大豆などを自由化し、国内生産に壊滅的打撃を与えたのをはじめ、90年代には世界貿易機関(WTO)の農業協定を受け入れ、米まで輸入に道を開き、2010年代に環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定を受け入れたのも、農業や国民の食料よりアメリカ追随を第一にしたからです。
米消費が歴史的に衰退し、水田農業に重くのしかかってきたのは、政府によるアメリカ産小麦の消費推進の影響でもあり、水田の4割近くを減反している時に77万トンもの米輸入を続けているのも、アメリカいいなり政治の象徴です。
もう一つは大企業の利益第一の政治です。輸入自由化は大企業製品の輸出拡大の犠牲を農業に転嫁するためでもありました。米や農業を市場まかせにし、家族農業の否定、種子法廃止などの規制緩和を次々に強行したのは農業での大企業の利益拡大のためでした。
農家への所得補償を否定し、米・農業への国の予算を減らしてきたのは大軍拡や大企業向け予算を最優先しているからです。
いまこの自民党政治があらゆる分野で行き詰まり、国民との矛盾を広げています。米と農業、国民の暮らしに希望ある未来を開くためにも、この政治を大本から転換することが求められます。
【年表】
1961 | 旧農業基本法制定 |
大豆の輸入自由化と麦の輸入促進 | |
1970 | コメの減反政策開始 |
1986 | GATT(関税及び貿易に関する一般協定) ウルグアイ・ラウンド交渉開始 |
1991 | 牛肉・オレンジの輸入自由化 |
1993 | 大冷害・コメパニックと外国米緊急輸入 |
1994 | WTO協定、コメの輸入受け入れ |
1995 | 食糧管理法廃止、現行食糧法に |
1999 | コメの輸入数量制限撤廃と関税化 |
食料・農業・農村基本法制定 | |
2018 | TPP(環太平洋パートナーシップ)協定発効 |
2024 | 食料・農業・農村基本法改定 |
運動の発展こそ
多くの国民は疲弊する農業・農村を心配し、食の現状に不安を抱えています。そして都市住民の中に「機会があれば農業・農村地域に協力したい」と答える人が7割を超え、若者の中には地方に移住し、就農する人も増えています。利潤追求でなく人間らしい暮らし方、働き方を農業・農村に求める都市住民も増えています。
実際の運動でも、近年、食と農をテーマにした学習会が都市部でも無数に開かれています。食料・農業・農村基本法改定に向けて食や農を守る立場で生協や消費者団体が積極的な提言を出しています。学校給食の無償化・有機地場産の提供などの取り組みも各地で広がっています。
今回の米不足を契機に生産者や流通業者、消費者が共同を強め、米と農業を守る運動を発展させるとともに目前に迫った総選挙でアメリカ言いなり、大企業本位の自民党政治を大本から転換することが求められています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月9日付掲載
1960年代に小麦・大豆などを自由化し、国内生産に壊滅的打撃を与えたのをはじめ、90年代には世界貿易機関(WTO)の農業協定を受け入れ、米まで輸入に道を開き、2010年代に環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定を受け入れたのも、農業や国民の食料よりアメリカ追随を第一にしたから。
実際の運動でも、近年、食と農をテーマにした学習会が都市部でも無数に。食料・農業・農村基本法改定に向けて食や農を守る立場で生協や消費者団体が積極的な提言を出しています。学校給食の無償化・有機地場産の提供などの取り組みも各地で広がっています。
今回の米不足を契機に生産者や流通業者、消費者が共同を強め、米と農業を守る運動を発展させるとともに目前に迫った総選挙でアメリカ言いなり、大企業本位の自民党政治を大本から転換することが求められています。
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