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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

未知の粒子 ヒッグス 発見競争に王手

2012-07-06 20:02:26 | 科学だいすき
未知の粒子 ヒッグス 発見競争に王手
新たな物理法則にも期待


宇宙を構成する物質に質量(重さ)を与えたと理論が予言する未知の粒子「ヒッグス」は、本当に存在するのか―。40年前から世界の研究者が続けてきた発見競争に王手がかかりました。
素粒子物理学の「標準理論」によると、私たちの物質世界は、クオークや電子、光子など17種類の基本粒子で構成されています(図)。加速器を使った実験で、これらの粒子が次々に発見されましたが、唯一未発見なのがヒッグス粒子です。



アトラス実験グループの資料をもとに作成

ヒッグス粒子は、英国の理論物理学者ピーター・ヒッグス博士が1960年代に存在を予言した粒子。質量の起源は、次のように説明されています。
宇宙誕生直後にはすべての粒子の質量がゼロで、光速で動き回っていた▽100億分の1秒後、宇宙の温度が1000兆度まで下がると突然、ヒッグス粒子が、水蒸気が水になるように凝結して動きがにぶくなり、ほかの粒子と反応を始めた▽その結果、ヒッグス粒子との結合が強い粒子ほど動きにくく(重く)なった―。この考えは「ヒッグス機構」と呼ばれています。2008年のノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎・米シカゴ大学名誉教授の理論を発展させたもので、標準理論の土台となっています。





ヒッグス粒子の探索に挑むLHCの測定器「アトラス」(CERNアトラス実験グループ提供)

昨年12月のLHC実験結果の発表に続き、今月2日に米国の加速器「テバトロン」も、ヒッグス粒子の存在を示唆する結果を得たと発表していました。今回、標準理論に登場する“役者”はほぼ出そろったと言え、理論の完結へ大きく進展する一歩となりました。
一方、新粒子の質量が比較的軽いことから、標準理論を超える物理法則「超対称性理論」の新しい世界が開ける可能性も期待されています。標準理論は宇宙のたった4%の物質を説明するにすぎません。LHC実験では、標準理論では説明できない宇宙の4分の1を占める暗黒物質の正体が解明される可能性もあります。人類未知の現象の探索は続きます。
(中村秀生)


【ヒッグス粒子】
物質の質量の起源と考えられている粒子。素粒子物理学の標準理論を構成する17種類の基本粒子のうち唯一、未発見です。ヒッグス粒子は宇宙空間に満ちており、宇宙誕生時はすべての粒子は質量がゼロでしたが、宇宙が冷えたためにヒッグス粒子と結びついて質量をもったと考えられており、ヒッグス粒子自身の質量も与えたとされます。光子はヒッグス粒子と結びつかないため質量がありません。



LHCの概念図。地下トンネルの設置された円形の加速器には、4基の測定器(白い矢印)が設置されています。(CERN提供)


LHC(大型ハドロン衝突型加速器)
陽子(水素の原子核)を光速の99.999996%まで加速し、正面衝突させてさまざまな粒子を生成させる史上最強の円形加速器。宇宙誕生の大爆発(ビッグバン)の1兆分の1秒後に相当する超高温状態をつくりだし、未知の素粒子反応を探ります。周長は約27キロメートルで、東京・山手線の大きさに匹敵します。測定器4基が設置され、さまざまな素粒子現象を調べます。


ヒッグス博士「よかった」
ジュネーブの欧州素粒子原子核研究所(CERN)で開かれたセミナーでは、ロルフ・ホイヤーCERN所長が「世界全体でがんばって、結果を実現した」とスピーチ。
ヒッグス博士は「生きているうちに見つかってよかった」と述べました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年7月5日付掲載



ヒッグス候補発見 “新粒子” 世界が興奮

ヒッグス粒子の探索実験に挑む日本のアトラス実験グループが4日、東京大学で記者会見しました。多数の報道関係者の前で研究者たちは、新粒子発見に至った実験結果を興奮気味に説明。40年来、物理学者たちが追い続けた待望のヒッグス粒子の「有力候補」の登場に、欧州素粒子原子核研究所(CERN)と中継でつないだ会場が沸きました。


ヒッグス粒子の候補となる新粒子発見を発表した記者会見=7月4日、東京大学

浅井祥仁東大准教授は「研究者の大部分はヒッグス粒子だと思っている」と話す一方、今回の実験での素粒子現象とは異なるパターンの現象を詳しく調べてチェックする必要があると説明します。
同グループの共同代表者の小林富雄東大教授は「新粒子を見つけて、やっと研究する対象を手に入れた。スピンや電荷といった性質から、史上初めて見つかった粒子であることは間違いない。これが本当にヒッグス粒子なのか確認したい。そして粒子の性質を詳しく調べることで、標準理論とのずれがあるかどうかを調べたい。研究の足がかりを得られた今が新しい世界へのスタートで、これからが楽しみだ」と話しました。



新しい物理開く ノーベル賞の益川敏英さん

ヒッグス粒子とみられる新粒子発見の発表を受け、感想を語るノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん=7月4日、名古屋大

「あるものがあって良かった。ようやくスタートラインに立てた」。ノーベル物理学賞受賞者で、名古屋大素粒子宇宙起源研究機構長の益川敏英さん(72)は4日、ヒッグス粒子とみられる粒子の発見を「かなり衝撃的」と目を輝かせながら語りました。
益川さんは、ヒッグス粒子が初めて提唱された1964年から現在までを「理論が主導した時代」と位置付け、「これからは実験主導の非常に楽しい時代がくる」と強調。「ヒッグス粒子が見つかった周辺で、いろんな新しいことが起こる。それが新しい物理を切り開いてくれる」と満面の笑みを浮かべました。
益川さんはこの日、名古屋大で教員や学生ら約90人と、発表のインターネット中継を見ました。
スピーカー越しに聞こえる現地の研究者の言葉にうなずき、時折身を乗り出してスクリーンの文字やグラフに見入っていました。


宇宙論でも重要◆金字塔的な発見

すばらしい成果

佐藤勝彦自然科学研究機構長(宇宙論)の話ほとんどヒッグス粒子の発見と言ってよく、長年科学者が待ち望んだ素晴らしい成果だ。質量の起源となる粒子だが、宇宙論の立場から言うと、南部陽一郎先生が提唱した「自発的対称性の破れ」の原因の一つと考えられ、(宇宙が膨張するきっかけとなった)「真空の相転移」の考え方を間接的ながら証明する証拠にもなる。また、ヒッグス粒子の性質が詳しく明らかにされることで、宇宙の質量の約96%を占める暗黒物質(ダークマター)や暗黒工ネルギー(ダークエネルギー)の正体解明にもつながる。

新研究への序幕
東京大学力プリ数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長の話素粒子物理学における21世紀初めの金字塔的発見だ。新しい研究の序幕、糸口になる。ヒッグス粒子で満ちた真空は、宇宙の終わりを解明するカギとなる可能性もあり面白い。
今後は本当にヒッグス粒子なのか、1個1個の性質を特定しなくてはならず、標準理論で考えられるヒッグス粒子とは違う可能性もまだ十分残されている。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年7月5日付掲載



今までは「理論」でしかなかったヒッグス粒子が「実験」で実証できる可能性がでてきた・・・
質量の根源とは・・・。宇宙が膨張し続けるかどうか・・・。
素粒子のミクロの世界と宇宙の彼方にかかわってくる壮大なロマン。
これからの展開に目が離せませんね。

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