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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

自民党の人権思想 改憲草案に見る③ 「公の秩序」優先に

2023-09-20 07:15:01 | 平和・憲法・歴史問題について
自民党の人権思想 改憲草案に見る③ 「公の秩序」優先に
日本国憲法13条は、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めています。国民の人権は「最大の尊重」を受けるけれども、「公共の福祉」による制限がありうることを示すものです。
「公共の福祉」とは、人権が全ての人に平等に保障される以上、人権と人権が衝突することが予想され、そのような場合の人権相互の衝突を調整する原理を示すものと理解されています。例えば、いかに表現の自由が重要だとしても、真夜中の病院の前で大音量の宣伝をすることは制限があっても仕方ありません。他方で、こうした「公共の福祉」の原理には、「人権を制約するものは人権だけ」という思想が表れています。
ところが自民党改憲草案は、13条の「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に書き換えています。また、12条では「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」と明記しました。
自民党の『日本国憲法改正草案Q&A』は、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えたことについて「基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにした」と告白。他者の人権との調整を超え、国が求める「公の秩序」優先で人権に制約を課すことを明確にしました。



国会に向かって秘密保護法廃案を訴える人たち=2013年12月6日夜、国会正門前

恣意的に制約
こうなると秩序の中身は権力者の恣意(しい)的な判断で決まる恐れがあり、大幅な人権制約がまかり通ることになります。
例えば、自民党改憲草案では9条の全面改定で「国防軍」の活動や機密保持が認められており、軍事的要請=「公の秩序」とされる危険があります。
安保・外交上の利益を国民の「知る権利」に優先させる自民党の思想が表れたのは、2013年に安倍政権が強行した特定秘密保護法でした。安保・外交に関する情報を行政の長の一存で秘密指定し、「何が秘密かも秘密」の状態で、情報にアクセス(接近)するものを厳罰にすることを決めました。
続く共謀罪法(17年)、土地利用規制法(21年) は国民の表現の自由から内心までをも規制し、政府の国民監視体制を強めるものでした。

歴史的逆行に
自民党改憲草案は、表現・結社の自由を規定する21条に第2項を新設し、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と明記しています。
改憲案Q&Aは「内心の自由はどこまでも自由ですが、それを社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然」としています。これにより、「平和を守ろう」というように内容が適切な表現でも「目的」が「公益を害する」と判断されれば規制されます。判断するのは国家権力であり、まるで憲法が治安維持法になってしまうかのような危険があります。
明治憲法下では、臣民の権利は天皇が定める「法律ノ範囲内」でしか認められませんでした。自民党の思想は、国が定める「公の秩序」の範囲で人権を制限することを許容するもので、「法律の範囲内」でのみ人権が保障される仕組みへの歴史的逆行をもたらしかねません。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年8月30日付掲載


自民党の『日本国憲法改正草案Q&A』は、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えたことについて「基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにした」と告白。他者の人権との調整を超え、国が求める「公の秩序」優先で人権に制約を課すことを明確に。
自民党改憲草案は、表現・結社の自由を規定する21条に第2項を新設し、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と明記。
改憲案Q&Aは「内心の自由はどこまでも自由ですが、それを社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然」と。


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