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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑧ 国保が機能しない実態 生存権実感できる社会を

2017-04-28 11:08:30 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑧ 国保が機能しない実態
生存権実感できる社会を


生存権の最低ラインである命まで奪われる事態が起こっています。全日本民主医療機関連合会が行った「2016年経済的事由による手遅れ死亡事故事例調査」(3月31日発表)の一つが、がんで亡くなった60代後半のAさん(男性)の事例です。
Aさんは歩行困難になるまで足の痛みをがまんし、千葉県流山市の東葛病院を受診したときには、がんは転移し手遅れでした。

治療費心配して病院に行けない
Aさんは長男、長女との3人暮らし。家計を支える収入は、長男の障害者年金と失業手当で、月に約15万円でした。家賃の4万5000円を引くと、約10万円で3人が暮らしていました。
Aさんを担当したメディカルソーシャルワーカーで、東葛病院患者サボートセンターの柳田月見副センター長(50)は、こう語ります。
「病院での治療費を心配して、体調の変化は市販薬で済ませていたようです。父親として、障害者の息子にきちんと病院には行かせたい。自分は二の次だったと思います。また、自分は無年金で収入がなく、息子の収入から医療費を出させるわけにはいかないという気持ちもあったと思います」
長男の健康のことがあり、Aさんは少ない収入の中から、国民健康保険料を払っていましたが、窓口負担の高さから本人は受診していませんでした。



経済的理由で手遅れ死亡事例調査についての記者会見=3月31日、国会内

国庫負担抑制の国の姿勢が原因
国保の保険料は他の公的医療保険に比べ高く、現役世代の窓口負担も3割。その原因は国が国保への国庫負担を抑制し続けているからです。そこに受診抑制の最大の理由があります。
国保が、生命と健康を守り、生存権を保障する制度として機能しない深刻な実態に、25年を超えるソーシャルワーカーの経験を持つ柳田さんは「死亡事例は氷山の一角です」と言います。
4人に1人が経済的理由で医療を控えた経験がある(NPO法人日本医療政策機構「2013年日本の医療に関する世論調査」)ほか、「経済的理由による患者の治療中断がある」と答えた医療機関が40・9%(全国保険医団体連合会の受診実態調査)にものぼるとの調査結果もあります。これに対し、国は受診抑制や手遅れ死亡についての調査を行っていません。
社会保障に詳しい長友薫輝(まさてる)三重短期大学教授は、「病気や健康など、自己責任や助け合いでは解決できない問題があります。だからこそ社会的な制度として発展してきたのが社会保障です。土台は25条の生存権保障です。生存権を実感できる社会を目指す必要があります」と強調します。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月27日付掲載


負担できないほど高い社会保険料も問題ですが、無理して払っても治療費負担で受診もできないって本末転倒です。

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