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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

職場のトラブルQ&A⑧ 「年休なんか取り下げろ」と上司が指示 自分が決めた日に取っていい

2019-04-28 13:52:51 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑧ 「年休なんか取り下げろ」と上司が指示 自分が決めた日に取っていい
今回は、年次有給休暇(年休)に関する相談を取り上げます。労働基準法上、労働者は、休日のほかに毎年一定日数の休暇を有給で取得できるようになっています。労働者にとって大事な権利ですが、わが国では、その取得率が低いのが現状です。ぜひ、有意義に活用するようにしてください。

 IT系の会社に入社して7カ月継続して働いてきました。入社以来、決まった労働日はすべて休まず勤務しました。そこで、先日、上司に2日間の年休取得を申請したところ、「年休なんか取ったら評価が下がるから取り下げろ」と言われました。私は年休をあきらめなければいけないのでしょうか。

 いいえ、そんなことはありません。あなたは、自分で指定した日に年休を取ることがで
年休は、「労働者が6カ月間続けて勤務し、全労働日の8割以上働く」という要件を満たせば、他の事情にかかわらず発生する権利です。
使用者(会社)は、「労働者が求めた時季に」これを与えなければなりません(労基法39条)。勤続6カ月の場合は、合計年間10日です。この日数は、勤続が1年増えるごとに増えていき、最大は20日です。(図表①)



※労働日数が週1~3日または年48~168日の場合も、日数に応じて年休が与えられます。

これは法律上の権利ですので、会社にその制度がなくても行使できます。
フルタイムの労働者だけではありません。週の勤務日数が4日以下で労働時間が週30時間未満のパートタイム労働者や、年間の勤務日数が216日以下の労働者にも、その働く日数に応じて年休が与えられることになっています(労基則24条の3)。活用しましょう。(図表②)
労働者が、休暇日数の範囲内で休みの始めと終わりを特定して年休を申請すれば、年休が成立します。つまり、その日の分の賃金を失うことなく会社を休むことができます。
会社側には、「事業の正常な運営を妨げる場合」に限定して、休暇の時季を変更する権利があるだけです。
あなたの上司がいう「評価が下がる」というようなことは、「事業の正常な運営を妨げる場合」にはあたりません。
また、年休を取った労働者に対して、賃金を減額するなどの不利益な扱いをすることは禁止されています(労基法附則136条)。「年休を取ったら評価を下げる」ことも許されません。
年休の申請に対して、「年休取得は望ましくない」などと言って取り下げさせた上司の行為について、不法行為が成立するとして慰謝料(60万円)が認められた裁判例(大阪高裁2012年4月6日判決)もあります。
なお、働き方改革一括法により今年の4月から、「年休義務化」が導入されました。年10日以上の年休が与えられた労働者について、うち年5日を「会社側が時季を指定して休ませる」ことが必要です。すでに5日以上の年休を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。詳しくは厚生労働省のHPなどをご参照ください。
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年3月31日付掲載


「年次有給休暇」は、労働者が自分が希望する日にちに取得することができる権利です。
「年休取得義務化」によって会社の方が時季を指定して休ませることができますが、それを悪用して会社の都合の日にちに休ませる(夏季休暇や年末年始の休暇を年休扱い)などは許されません。


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