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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 財界の策動⑥ 暴走の論理 10年前に提言

2014-06-23 22:35:47 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 財界の策動⑥ 暴走の論理 10年前に提言

財界の老舗シンクタンクに日本経済調査協議会(略称・日経調)があります。
日経調は1962年3月に、経団連、日本商工会議所、経済同友会、日本貿易会の財界4団体によって設立されました。その提言は、これまで政界、官界に大きな影響を与えてきました。
2004年7月に発表した「憲法問題を解く」では、憲法問題が「政治的なタブーとしては戦後最大の問題」と位置づけ、改憲に向けた取り組みが必要だとの認識を示しました。そして、「21世紀の日本の内政と外交のありかたを根本から見直す」ことが必要だと宣言しました。
「内政と外交のあり方」の「見直し」は、10年後の今まさに、安倍晋三政権が狙っていることです。

解釈改憲求める
現在の熱い焦点は、集団的自衛権問題です。報告書は、すでに次のように主張していました。
「初めに集団的自衛権の行使は違憲であるという内閣法制局の解釈ありき」だと非難し、「そこから外交政策や安全保障政策を決めようという順番になってしまっているのです。この逆転の構造を変えなければ、現実を直視して政策を考えることなどとうていできるはずもありません」
「逆転の構造」をどうやって変えるのでしょうか。集団的自衛権の行使は、「現憲法下において、当然、問い直されてしかるべきだ」として、改憲手続きをとることなく解釈の変更で集団的自衛権行使を認めるよう報告書は求めていたのです。
日経調の報告書が10年前に、今後の課題として指摘したのは、安倍政権の真の狙いでした。
「米国が攻撃されたときに、同盟国である日本がどのように、またどの程度まで同盟の精神を生かすことができるかであろう。冷戦状況においては思考停止が許容されたが、今後米国に対するテロは一定の頻度で起きる可能性は否定できず、否(いや)応なく対応の検討を迫られることになろう」
アメリカとともに海外で戦争ができる国づくりへの「暴走の論理」そのものです。
日経調の報告書をまとめたのは、「葛西委員会」です。委員長は、葛西敬之(よしゆき)JR東海会長(当時)でした。
葛西氏は、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)のメンバーの一人。豪腕で知られる葛西氏は、安倍首相を囲む経済人の集い「四季の会」の有力メンバーでもあります。政界と経済界の連綿と続く結託が政治の右傾化を加速させています。



国会議事堂=東京都千代田区

「参院が妨げに」
日経調の報告書には、もう一つ、「内政上の問題」で重大な提言を行っていました。
報告書は、「理論的にみれば、内閣総理大臣はかなりの程度オールマイティー」だと強調。「立法・司法・行政をコントロールし、みずからの望む方向に政治を指導することが、原理上は可能」だと指摘します。
この「オールマイティーの首相」にとって、障害はあるのでしょうか。
「内閣総理大臣のリーダーシップを唯一妨げる存在が、参議院です。内閣総理大臣は、衆議院は解散できても、参議院は解散できません」「内閣総理大臣が率いる与党が参議院で多数を占めていないと、内閣総理大臣が意のままに法律案を通すことはできません」
「首相独裁体制」を築き上げ、首相が「意のままに法律案を通す」ためには、参院の権限の縮小がなんとしても必要だと提言します。
財界・大企業が求める多国籍企業本位の国づくりを進めれば進めるほど、国民経済との矛盾は深まります。そのとき、選挙で選ばれた国会よりも、内閣が優先する国家体制をつくりあげることができていれば、国民の批判を恐れることなく、多国籍企業本位の経済政策を推進することが可能、というのがその狙いです。
安倍内閣は今、国権の最高機関としての国会を形骸化させる策動を強めています。これは、国民主権をうたう憲法を実質的に解体させる道です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年6月19日付掲載


財界団体が10年も前から集団的自衛権行使を求めていたんですね。
さらに、参議院の機能弱体化まで狙っていたとは空恐ろしい。参議院は3年に一度の選挙で半数が改選され、一度選ばれた議員は6年の任期をもつ。解散で議員でなくなることはありません。それにひきかえ、衆議院は満期まで務めても4年間。解散があれば、1年以下で議員でなくなることもあります。
第35回衆議院総選挙(1979年10月7日投票)第36回衆議院総選挙(1980年6月22日投票)。その間、259日でした。
それに引き換え参議院は、事実上、衆議院のまる2回分を担う長い視野で、日本の国政に係わる議員で構成される議会です。
選ばれ方も、衆議院は小選挙区制と全国11のブロックの比例代表で選ばれる。参議院は各都道府県ごとの選挙と全国一本の比例代表で選ばれる。
議員の資格も選ばれ方も違う二つの院をいっしょこたにすることはできませんネ。
コメント
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