再生可能エネルギーへの挑戦 伊プーリア州② 景観保護と両立へ
イタリア最大の環境団体レガンビエンテ(環境同盟)によると、同国南部プーリア州で、再生可能エネルギーによる発電施設を一つでも持つ市町村は2006年から急増し、11年には、州内258すべての市町村に広がりました(表)。今、住宅や事業所に設置されている中小規模の発電施設の数は約2万です。
畑の中の風車
同国経済紙ソレ24オレは、プーリア州のこれらの施設が約168万5千キロワットの発電能力を持ち、再生可能エネルギーの活用が進んでいる有数の州だと紹介しました。(11年12月7日付)
一方で、議論になっているのが、風力発電機や太陽光パネルの設置を、同州の主要産業である観光業や農業とどう両立させるかという問題です。
プーリア州北部の都市フォッジャから西へ20キロ余り。アペニン山脈の麓近くの町トロイアを訪れると、畑の中に50基を超える風力発電機が緩やかな風を受けて動いていました。この一帯は、風の通り道で、国内で最も風力発電機が集中している場所です。
州都バリに住む技師のジュゼッペ・チンカバッリさんは、「風力発電に市民はおおむね賛成です。しかし風車の数が増えるにつれて、景観が破壊される、動植物に影響が出るという議論があるのも確かです」と話します。
太陽光パネルを設置する際に、プーリア州を代表する農産物であるオリーブ栽培用の農地の一部が使われる場合もあり、批判の声が上がっています。
プーリア州で再生可能エネルギーを活用している市町村の数
合計は重複あり<レガンビエンテの報告から作成>
場所の選定は
こうした懸念を背景に、風力事業の関連企業や団体でつくる「全国風力エネルギー協会」とプーリア州のレガンビエンテは、風力発電機設置にあたっての合意を結んでいます。
合意では、▽場所の選定については、住宅地からの距離を保ち、自然環境や歴史的建造物などへの影響を考慮する▽地域住民や自治体への情報提供を優先的に行う▽渡り鳥の移動ルートを避けるーことなどが盛り込まれています。
ニキ・ベンドラ州知事は、「プーリアの美しい景観、歴史、文化、6千万本あるというオリーブの木を守る上では、州も責任を負っている」と述べ、こうした合意形成への支援を表明しています。(プーリア州トロイア=島田峰隆 写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年1月4日付掲載
日本でも風力発電の設置では、景観や低周波振動などの被害が問題が起こっています。自然エネルギーの活用は進めるべきことですが、住んでいる人々と共存できないのであればそれは許されないことです。
イタリアでの取り組みを学んでいかないといけませんね。
イタリア最大の環境団体レガンビエンテ(環境同盟)によると、同国南部プーリア州で、再生可能エネルギーによる発電施設を一つでも持つ市町村は2006年から急増し、11年には、州内258すべての市町村に広がりました(表)。今、住宅や事業所に設置されている中小規模の発電施設の数は約2万です。
畑の中の風車
同国経済紙ソレ24オレは、プーリア州のこれらの施設が約168万5千キロワットの発電能力を持ち、再生可能エネルギーの活用が進んでいる有数の州だと紹介しました。(11年12月7日付)
一方で、議論になっているのが、風力発電機や太陽光パネルの設置を、同州の主要産業である観光業や農業とどう両立させるかという問題です。
プーリア州北部の都市フォッジャから西へ20キロ余り。アペニン山脈の麓近くの町トロイアを訪れると、畑の中に50基を超える風力発電機が緩やかな風を受けて動いていました。この一帯は、風の通り道で、国内で最も風力発電機が集中している場所です。
州都バリに住む技師のジュゼッペ・チンカバッリさんは、「風力発電に市民はおおむね賛成です。しかし風車の数が増えるにつれて、景観が破壊される、動植物に影響が出るという議論があるのも確かです」と話します。
太陽光パネルを設置する際に、プーリア州を代表する農産物であるオリーブ栽培用の農地の一部が使われる場合もあり、批判の声が上がっています。
プーリア州で再生可能エネルギーを活用している市町村の数
年 | 太陽熱 | 太陽光 | 風力 | 水力 | バイオマス | 合計 |
2006 | 11 | 8 | 24 | 0 | 3 | 37 |
2007 | 12 | 156 | 23 | 0 | 3 | 176 |
2008 | 65 | 218 | 40 | 0 | 11 | 240 |
2009 | 72 | 248 | 45 | 1 | 15 | 249 |
2010 | 82 | 255 | 64 | 3 | 15 | 255 |
2011 | 110 | 255 | 74 | 5 | 15 | 258 |
場所の選定は
こうした懸念を背景に、風力事業の関連企業や団体でつくる「全国風力エネルギー協会」とプーリア州のレガンビエンテは、風力発電機設置にあたっての合意を結んでいます。
合意では、▽場所の選定については、住宅地からの距離を保ち、自然環境や歴史的建造物などへの影響を考慮する▽地域住民や自治体への情報提供を優先的に行う▽渡り鳥の移動ルートを避けるーことなどが盛り込まれています。
ニキ・ベンドラ州知事は、「プーリアの美しい景観、歴史、文化、6千万本あるというオリーブの木を守る上では、州も責任を負っている」と述べ、こうした合意形成への支援を表明しています。(プーリア州トロイア=島田峰隆 写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年1月4日付掲載
日本でも風力発電の設置では、景観や低周波振動などの被害が問題が起こっています。自然エネルギーの活用は進めるべきことですが、住んでいる人々と共存できないのであればそれは許されないことです。
イタリアでの取り組みを学んでいかないといけませんね。