く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<鯖江・西山公園㊤> 越前随一のモミジの名所

2021年11月26日 | 旅・想い出写真館

【〝祈りの道〟には微笑ましい石仏など約420体】

 北陸有数のモミジの名所として名高い福井県鯖江市の西山公園。11月24日訪ねると、ちょうど鮮やかに色づき、とりわけ〝祈りの道〟の光景は見応え十分だった。木々の間には石仏や石碑などがずらりと並ぶ。中にはモミジの葉っぱを頭に乗せて温かい表情で出迎えてくれたお地蔵さんも。四角形の木の柱には「『西山公園』日本の歴史公園百選選定五周年 もみじ千六百本達成記念植樹」と書かれていた。

 西山公園は祈りの道や西山動物園、芝生の広場、冒険の森、道の駅などがある西側の園地と、東側の日本庭園「嚮陽(きょうよう)庭園」などから成る。嚮陽庭園は江戸時代末期に幕府の老中も務めた越前鯖江藩第7代藩主間部詮勝(まなべあきかつ、1804~84)が「嚮陽渓」として造成した。祈りの道は山頂近くまで脇道も含め約900mにわたって続く。その間、木々を見上げては目を落とし石仏や句碑などを覗き込むことの繰り返し。モミジ狩りに加え石仏などの表情にも癒されるひと時だった。

 祈りの道づくりは1970年代に文化人たちの市民グループが「心の潤いと安らぎの場」として発案したのが発端。市民はもとより全国から賛同者が集まり、プロの指導を受けながら思い思いの石造物を造り上げた。1988年から97年までの10年間に設置された石仏などは420体にも上る。それから20~30年余り。風雨にさらされた石造物は古色蒼然とした味わいも備わってすっかり風景に溶け込んでいた。他のモミジの名所では味わえない雰囲気を堪能しているうちに展望台に到着。赤く染まったモミジの向こう側には鯖江市や越前市、越前町などの広大なパノラマが広がっていた。

 この後、国道417号を跨ぐ陸橋を渡って嚮陽庭園側へ。丘陵地に築かれたこの庭園には上段、中段、下段の3つの庭がある。嚮陽とはあまり耳慣れないが、自然に親しみ陽に嚮(むか)って常に明るくいつも隣人を愛することを意味するという。池泉回遊式の上段の庭(下の写真)の「初代の嚮陽渓碑」の案内板にこう書いていた。間部詮勝といえば思い浮かぶのは井伊直弼と共に尊皇攘夷派を弾圧した安政の大獄。「井伊の赤鬼」「間部の青鬼」として恐れられ、吉田松陰は間部の暗殺まで企てた。しかし鯖江藩主としては領民の憩いの場として嚮陽渓を造るなど藩のために尽くし名君として慕われたという。上段の庭には間部の胸像も飾られていた。その像の前や鯖江藩ゆかりの松阜神社では毎年顕彰祭が開かれてきたそうだ。


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