く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<平城宮跡資料館> 「ナント!おいしい⁉平城京‼―奈良の都の食事情」展

2016年08月23日 | 考古・歴史

【平城宮の役人たちは毎日朝夕2回、給食を食べていた!】

 奈良文化財研究所の平城宮跡資料館(奈良市)で夏休み企画展「ナント!おいしい⁉平城京‼―奈良の都の食事情」が開かれている。これまでの発掘調査を基に奈良時代の役人の給食メニューや調味料の種類、〝珍味番付〟など、当時の食事情を分かりやすく紹介している。8月31日まで。

 

 平城宮内では約7000人の役人が働いていた。発掘調査ではごみ捨て穴から同じような土器や箸(はし)が大量に見つかっており、役人たちは毎日朝・夕の2回、職場で給食を食べていたとみられる。長さが60cmほどもある巨大な杓子(しゃくし)なども出土している。給食の平均的な献立は「白ご飯・野菜や魚のおかず2品・お汁・塩」だったらしい。ちなみに飛鳥時代の宮殿や藤原京では箸はほとんど出土しておらず、箸が盛んに使われ始めたのは奈良時代になってからとみられる。

   

 塩は役人にとっても欠かせない調味料。塩加減を自分好みに調えながら食べたとみられる。塩をもらえない場合があったのか、「此无塩如何不可須如常」となぜ塩をもらえないのか不満を訴える木簡も見つかった。「塩」「酢」「酒」(写真㊧)「味物料理」(写真㊥)などと書かれた土器や「醤」「糖」「末醤(ミソ?)」などと書かれた木簡も出土している。長屋王の邸宅跡からは「加須津毛瓜」と書かれた木簡が見つかった。酒粕に漬けたトウガンの漬物とみられ、奈良名物・奈良漬の〝元祖〟かもしれない。

 会場内には「平城京珍味番付」も(上の写真㊨)。木簡に書かれた食品の中から特に珍しい逸品を大相撲の番付風に序列化した。横綱は牛乳を煮詰めた乳製品の「蘇(そ)」と「氷」、大関は韓国・済州島特産のアワビ「耽羅鮑(たんらあわび)」とカキの干物「蠣腊(かきのきたい)」。関脇以下には今のキイチゴやヤマブドウのような「伊知比古(いちびこ)」や「蒲萄(ぶどう)」、イガイ(ムール貝に似た二枚貝)とホヤの和え物「胎貝富也交作(いがいほやのまぜづくり)」などが続く。

 

 常設展示場にも出土した土師器や須恵器などの食器類、皇族・貴族の食事風景などが展示されている(上の写真)。皇族・貴族の献立には鴨とセリの汁、ハスの実入りご飯、鹿肉の塩辛、生牡蠣(なまがき)、干し蛸、車エビの塩焼き、焼きアワビなどが並ぶ。全国各地から一級の食材が平城宮に集まっていたことを物語るもので、1300年前の貴族たちの豪華な食事メニューにはつい溜め息も出てしまう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <桜島> 大正噴火のすさま... | トップ | <奈良大学博物館> 「好奇... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿