【爬虫類コーナーで“カラスヘビ”に再会】
北九州市小倉北区の繁華街の一角に、入場無料で水族館の気分を味わえると人気の施設がある。市立の「水環境館」。中心部を流れる紫川の自然や水環境などを楽しみながら学んでもらおうと2000年にオープンした。先日久しぶりに訪ねると、小学生の団体や親子連れなどが巨大な河川観察窓や水槽を覗き込んで歓声を上げていた。
目玉施設の観察窓は横幅が7.2m、高さが2.3mもある。透明アクリル製の厚さは25.5cm。河口域に近いため潮の満ち干によって淡水魚から汽水魚、海水魚まで様々な魚類を観察できる。初めて訪れたのは確か9年前の2014年8月。体長30cmほどのセイゴ(スズキ)やチヌ(クロダイ)の姿を目にしたときの感動が蘇ってきた。これらは観察窓の常連とのこと。ただ、この日は残念ながら姿を見せてくれなかった。期待していた、淡水と海水が上下に分かれて流れる“塩水くさび”の現象も現れなかった。
館内はこの観察室を中心とする「くつろぎエリア」、紫川の歴史を紹介する「つながりエリア」、魚など数十種類の生物を展示した「まなびエリア」からなる。展示のエリアは紫川の上流域、中流域、下流・河口ごとに魚などの種類を紹介したり、爬虫類のコーナーを設けたりするなど、前回訪ねたときから模様替えしていた。
その中で目を引いたのがタナゴの水槽。タナゴは多くの種が外来生物の食害や卵を産みつける二枚貝の減少などで絶滅の危機に瀕している。そのため同館では10年以上前から二枚貝を使わずに、二枚貝の中と同じような環境下で人工繁殖を繰り返し“累代飼育”に取り組んできた。
「コマフエダイのゴマちゃん成長日誌」というコーナーもあった。この魚は本来暖かい海に生息しており、福岡県内での確認例はほとんどないという。2年前に門司で採取したときは親指の爪ほどのサイズだったが、今では幅120cmの大きな水槽で悠々と暮らし、10cmほどの魚を丸呑みするまでに育った。スタッフの顔を覚えていて、顔を近づけるとダッシュで寄ってきてくれるそうだ。
爬虫類コーナーで展示しているのはアオダイショウや黒いシマヘビ、ジムグリなど。十数年前、奈良の自宅近くの草むらでトカゲをくわえた真っ黒いヘビに出くわした。シマヘビは何度も見ていたが、黒ヘビは初めて。調べると、どうもカラスヘビとも呼ばれるシマヘビの黒化型らしい。それから数年後のことだった。この水環境館で展示中のシマヘビの黒化型を目にしたのは。「まなびエリア」にはカエルやカメなどの展示コーナーもある。