【語源は葉っぱが風に「そよぐ」様から】
モチノキ科の常緑広葉樹で、モチノキやクロガネモチなどと同じモチノキ属の仲間。国内では主に東海以西の山地に自生し、中国中南部や台湾にも分布する。大きなものは高さが10m以上にもなる。庭木として人気が高い。樹木の印象が涼やかで、生長が緩く剪定をあまり要しないこと、害虫がつきにくいことなどが人気の理由。幹が複数本の株立ち、または幹1本の単株仕立てとする。
5~6月頃、若い本年枝の葉腋から長い花柄を伸ばし、直径4ミリほどの白い小花を付ける。雌雄異株で、花の数は雌株より雄株のほうが多い。花弁は通常4~5枚。写真の株立ちのソヨゴには十字の4弁と星形の5弁の花が混在していた。秋になると径7~8ミリの実が赤く熟す。ただし、その実を楽しめるのは雌株だけ。雄株には実がならない。学名「Ilex pedunculosa(アイレックス・ペドゥンクロサ)」。種小名は「花柄のある」を意味する。
ソヨゴという和名の由来は葉っぱが風にそよそよと「戦(そよ)ぐ」様子から。また漢字表記「冬青」は漢名から。寒さの厳しい冬でも葉が青々としていることを表す。ただ中国で冬青という場合、正確には同じモチノキ属のナナミノキ(七実の木)を指すそうだ。ソヨゴには「フクラシバ」という別称も。これは「膨ら柴」で、葉を火であぶると膨らんで音を立て爆ぜることによるという。えっ、本当? というわけで実際にあぶってみた。残念ながら葉の膨らみはよく確認できなかったが、確かにパン・パンとはじける音はした。葉は褐色の〝ソヨゴ染め〟の染料にもなる。