く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヤマモモ(山桃・楊梅)> 雌雄異株、実は食用・樹皮は薬用に

2020年04月13日 | 花の四季

【高知県の県花、徳島県の県木】

 ヤマモモ科ヤマモモ属の常緑高木で、樹高は大きくなると20mほどにも達する。関東南部以西の本州と四国、九州、沖縄の山野に自生し、朝鮮半島南部、中国中南部、台湾、フィリピンにも分布する。名前は山に生え、食用にもなる小さなモモのような果実を付けることから。分類上、バラ科サクラ属の果実のモモとは全く関係がない。3~4月頃、花被がなく苞に包まれた小花を数珠玉状に付ける。雄花序の長さは2~4cm、雌花序は1cm前後と短い。雌雄異株で、雌木だけが実を付ける。

  初夏に直径1~2cmの実が暗紫紅色に熟す。キイチゴに似た表面がブツブツの球形で、マツヤニのような匂いがし口にすると甘酸っぱい独特の風味がする。日持ちしないため果実がそのまま広く流通することはなく、果実酒や砂糖漬け、ジャムなどに加工されることが多い。乾燥させた樹皮は「楊梅皮(ようばいひ)」と呼ばれる生薬として、打ち身や下痢止め、鎮痛などに用いられる。また樹皮は古くから黒ずんだ褐黄色に染める染料としても利用されてきた。その色は「媚茶(こびちゃ)」と呼ばれる。

 国内では四国の徳島県や高知県を中心に「瑞光」「森口」「亀蔵」といった実の大きな品種の栽培が盛ん。江戸時代の阿波藩時代に御禁木として保護されたという徳島県ではヤマモモが県木になっており、高知県でも県花になっている。このほか市の木などに定めている自治体も多い。愛知県知多市、徳島県小松島市、香川県丸亀市、高知県南国市、山口県下松市、福岡県那珂川市、宮崎県西都市……。静岡県伊東市の城ケ崎海岸にある蓮着寺のヤマモモの巨樹は国の天然記念物に指定されている。「山桃の日蔭知らで通りけり」(前田普羅)

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