【礼文島や北海道北東部の山地に自生】
「プリムラ」の名前で広く親しまれているサクラソウ科サクラソウ属の多年草。プリムラの仲間は日本では変種を含めると30種近くが確認されている。レブンコザクラはそのうちの1種で、礼文島をはじめ天塩山地や夕張山地、北見山地、知床半島など北海道北東部にも分布する。自生地は海岸近くの礫地や草地、低山帯~亜高山帯の岩場など。礼文島には他にもレブンアツモリソウ、レブンウスユキソウ、レブンキンバイソウ、レブンハナシノブなど「レブン」と頭に付いた植物が多い。
草丈は10~20cmほどで、6~7月頃、茎先に径2~4cmのピンクまたは紅紫色の愛らしい花を5~15輪まとまって付ける。葉はへら状の倒卵形。ユキワリソウの変種とされているが、それに比べると花も葉もやや大きい。レブンコザクラは大昔には北海道全域に分布していたと推測されている。しかし現在では局所的な隔離分布となっており、環境省は絶滅の危険性が増大しているとし絶滅危惧Ⅱ類に指定している。
学名は以前「Primula modesta var.matsumurae」とされてきたが、最近では「Primula farinosa subsp.modesta var.matsumurae」と表記されることが多い。これはユキワリソウ(Primula modesta)が従来別種とされてきたセイヨウユキワリソウ(Primula farinosa)の亜種として分類されたことによる。レブンコザクラの変種名「matsumurae(マツムラエ)」は東大教授で小石川植物園の初代園長を務めた植物学者松村任三(1856~1928)の名前に因む。