【バラ科の多年草、別名「オオバナキンバイ」】
バラ科キジムシロ属の多年草。北海道の知床半島や根室半島、襟裳岬など、海岸近くの岩場や礫地に自生する。名前は最初千島列島で発見され、花が黄金色で形が梅に似ていることから。カムチャッカ半島などにも分布する。
草丈は10~30cm。茎の先に径3~4cmほどの5弁花を数個ずつ付ける。別名の「オオバナキンバイ」は花がキンバイの仲間の中では大きいことによる。葉は3枚の小葉からなる3出複葉で、葉は厚く縁にはギザギザの鋸歯。茎や葉の裏側には絹毛が密生しており白っぽく見える。
学名は「Potentilla megalantha(ポテンティラ⋅メガランサ)Takeda」。種小名メガランサは「大きな花の」を意味する。命名者は日本自然保護協会会長を務め〝尾瀬の父〞と呼ばれた植物学者の武田久吉博士(1883−1972)。武田はチシマウスユキソウ、シコタントリカブトなどの学名の名付け親でもある。
また武田が発見した新種の植物イワシャジン、ガッサンチドリ、テシオコザクラなどには、牧野富太郎博士らによる献名で学名に「takedana」などと名前が刻まれている。チシマキンバイによく似た名前の「チシマノキンバイソウ(千島の金梅草)」は北海道の大雪山系や知床山系などに分布するキンポウゲ科の高山植物。