【「マデイラの誇り」とも、青い小花をびっしり】
ムラサキ科エキウム属(シャゼンムラサキ属)の多年草。エキウム属の植物は大西洋上の離島やヨーロッパ、アフリカ北部、アジア西部などに約60種分布する。その一つ、カンディカンスの原産地はアフリカ北西部のモロッコ沖に浮かぶポルトガル領のマデイラ諸島。気候が温暖で年中カラフルな花が咲き乱れるこの島々は〝大西洋の真珠〞とも形容されている。
草丈は1.5~3mで、長い円錐状の花穂に無数の径1~2cmほどの青い小花を付ける。属名エキウムの語源は一説にギリシャ語の「毒蛇」でその薬草とされたことから。和名の属名シャゼンムラサキは「車前紫」で、草姿が「車前草」という異名もあるオオバコに似て花が紫色であることによる。
カンディカンスの葉にはシルバーリーフのように白い毛が密生する。種小名のカンディカンス(candicans)自体も「白毛状の」「白い光沢のある」を意味する。マデイラ諸島を代表する植物で花が美しいカンディカンスは「Pride of Madeira(マデイラの誇り)」とも呼ばれる。日本国内では養蜂での最大の蜜源植物ニセアカシアに代わる可能性があるとして注目を集め研究が進められている。