く~にゃん雑記帳

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<春日大社> 古式ゆかしく「御田植神事」

2019年03月16日 | 祭り

【田植歌に合わせ八乙女が雅に田舞を奉納】

 東大寺の修二会(お水取り)が未明に満行を迎えた15日、今度は春日大社で五穀豊穣を祈願する「御田植神事」が執り行われた。約900年前の平安末期の1163年(長寛元年)から続くという伝統的な神事。奈良県内では毎春各地で多くのお田植え祭が行われ、中には飛鳥坐(あすかにいます)神社(明日香村)の「おんだ祭」のように動きの激しいユーモアあふれるものもある。それらとは対照的な古式に則った神事だが、素朴な中にも雅な味わいがあった。

 この日は午前10時から本殿で「御田植祭」が関係者以外非公開の中で行われた。11時すぎ、摂社若宮神社でお祓いを受けた八乙女(巫女8人)や田主、神楽男(かぐらお)らが南門から入場し、御田植神事の会場となる〝林檎の庭〟に勢ぞろいした。庭の北西角には樹齢1000年ともいわれる神木の杉。まず牛面を被った牛男が唐鋤を引いて田を掘り起こし、田主が鍬で耕す。これらの所作が終わると、八乙女が本殿に向かって横一列に整列し田舞の奉納が始まった。一般客は幣殿越しに垣間見る形になるが、何重もの観客でごった返した。

 

  八乙女は腰に籠を下げ、緋色のたすけ掛け姿。神楽男が笏拍子(しゃくびょうし)や笛などを奏しながら田植歌を歌う。「若たね 植えほよ 女の手に手をとりて ひろいとるとよ や~れやーれ や~れや~れ」。八乙女は歌に合わせ手を交互に上げたり、早苗に見立てた松苗を植える所作を交えたりしながら舞う。静かな舞が続く中、片足立ちで両手を翼のように広げる素早い動きが織り込まれていた。この部分、「雀の舞」と呼ばれているそうだ。

 

  同様の神事は林檎の庭のほか、榎本神社前と若宮神社前でも行われた。榎本神社は本殿の南側に位置し、田舞の奉納場所は参道すぐ脇の広場。このため、ここでも一時観客が参道を埋め尽くすほどだった。それに比べると若宮は3カ所目ということや会場の南庭が見学しにくいこともあって、観客の数はぐっと少なめだった。奉納が終わり奉仕者が引き揚げると、八乙女が置いた松苗などを手に入れようと直後に走り込む観客たちもいた。

 

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