く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 「四季探訪―研ぎ澄まされる四季絵の伝統」

2018年11月23日 | 美術

【四季の表情を描いた屏風など25点、国宝「寝覚物語絵巻」も】

 奈良市の大和文華館で企画展「四季探訪―研ぎ澄まされる四季絵の伝統」が開かれている。四季絵は春夏秋冬の自然景観に折々の行事や祭礼を織り込んで屏風などに描いたもので平安時代に生まれた。同展では平安後期作の国宝「寝覚物語絵巻」をはじめ、江戸時代の作品を中心に季節の移ろいを一望に眺めることができる屏風絵など計25点が展示されている。12月24日まで。

 国宝「寝覚物語絵巻」(上の作品=部分)は菅原孝標の女(「更級日記」の筆者)の作といわれる長編物語を絵巻物に仕立てた作品。現存しているのはそのごく一部の4場面と前後の文章のみだが、その全画面(長さ約5.3m)を一挙に公開している。最初の画面に描かれているのは満開の桜の下で少女たちが笛や笙の合奏を楽しむ様子。他の画面には月に照らされた初夏の夜の庭などもあり、それぞれに季節感が醸し出されている。

 四季を描いた屏風は渡辺始興が描いた「四季花鳥図押絵貼屏風」(六曲一双)と円山応挙作「四季山水図屏風」(六曲二双)を展示中。始興の作品は12枚の紙に描かれた絵を貼り合わせたもので、背景の木々などは墨で、手前の鳥や草花などは彩色を加えて描かれている。春と秋など2つの季節を組み合わせた屏風も2点展示されている。江戸中期作の「伊勢物語図屏風(八橋・布引図)」(六曲一双)と江戸後期に岡田為恭が描いた「春秋鷹狩茸狩図屏風」(同、下の作品は左隻=秋の茸狩図)。

 俵屋宗達作「桜図」は〝たらし込み技法〟で画面下部の枝や葉が墨でぼんやりかすむように描かれている。尾形乾山筆「春柳図」は幹が途中でぽっきり折れた柳の老木だが、しなやかな枝からぽつぽつと新芽が吹き出す。添えられた和歌は室町時代の公家三条西実隆の「露けさもあかぬ柳の朝ねかみ 人にもかなや春のおもかけ」。朝露に濡れた柳の枝を女性の寝乱れ髪にたとえた。乾山、晩年の77歳のときの作品だが、なおみなぎる自身の生命力を柳の木に込めたのだろうか。乾山筆の作品には重要文化財「武蔵野隅田川図乱箱」も展示中。ほかには本阿弥光悦筆「新古今集和歌色紙」、英一蝶筆「僧正遍昭落馬図」、応挙筆「鱈図」「雪汀双鴨図」なども出ている。

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