く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<バイカモ(梅花藻)> 低水温の清流に生える日本固有種

2018年08月04日 | 花の四季

【キンポウゲ科の多年草、別名「ウメバチモ」】

 キンポウゲ科の日本固有の沈水植物。初夏~初秋に細長い花柄を水面上に伸ばし、梅の花に似た清楚な白い5弁花を付ける。花径は1~2cmほど。年間を通して安定した低水温(生育適温14~15度)で、水底が砂質の浅い清流を好む。冷涼な北日本には河川や水路などに広く分布するが、暖かい西日本での分布域は河川の上流域や湧水地域などに限られる。別名「ウメバチモ(梅鉢藻)」「ウダゼリ(宇多芹)」。

 変種に浮き葉の形がイチョウに似たイチョウバイカモやオオイチョウバイカモ、浮き葉が手のひら状に深く裂けるミシマバイカモ、バイカモより全体的に小さいヒメバイカモなど。ミシマバイカモの名は静岡県三島地方で最初に見つかったことに因む。その自生地として有名なのが日本最短の一級河川、清水町の柿田川(全長約1.2キロ)。三島市はここから譲り受けたバイカモをもとに「三島梅花藻の里」を設け、この里で育てたバイカモを移植した源兵衛川も群生の名所に育っている。

 近畿地方では滋賀県米原市醒井(さめがい)にある清流、地蔵川の人気が高い。醒井は中山道の宿場町で、地蔵川は〝平成の名水百選〟の一つ「居醒(いさめ)の清水」を水源とする。兵庫県新温泉町の田君川は国内有数のヒメバイカモの群生地として知られる。地元の「田君川バイカモ保存会」を中心に移植や堤防の草刈りなどに取り組んで、毎年見頃の時期にはバイカモ祭りを開いてきた。ただ昨年と今年は豪雨と台風によるバイカモの流失で2年連続中止に追い込まれたという。

 バイカモは淡水魚ハリヨ(トゲウオ科イトヨ属)にとって貴重な産卵場所にもなっている。体長は4~5cmほどの小魚だが、氷河期から生き延びてきたといわれる希少魚。生息地は滋賀県、岐阜県の一部地域に限られ、環境省はごく近い将来に絶滅する危険性が極めて高いとして絶滅危惧ⅠA類に指定している。「梅花藻の花くぐり来て水潔し」(伊藤いと子) (写真は滋賀県米原市醒井の地蔵川で)

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