く~にゃん雑記帳

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<杵築> 全国唯一の〝サンドイッチ型城下町〟!

2018年08月03日 | 旅・想い出写真館

【谷間の商人の町を挟んで南北の台地に武家屋敷】

 大分県杵築市は豊後路の小京都といわれる。国東半島南部の付け根に位置し、江戸時代には杵築城を中心に南北の台地に武家屋敷群、その間の谷あいに商人の町が築かれていた。今も往時の面影を色濃く残す町並みは、日本唯一の〝サンドイッチ型城下町〟と形容される。高台と谷間を結ぶ数々の坂道が独特な景観をつくり、町並みに味わい深い風情を醸し出していた。

 杵築の坂道を代表するのが商人の町と〝北台〟の武家屋敷をつなぐ「酢屋(すや)の坂」。その名前は坂を下りた所に酢を扱う商店があったことから。坂道の上と中ほどには黒塗りの燈籠。この坂道は度々映画やテレビのロケ地になっているそうだ。坂は直線だが、下側の道幅が狭く、上に行くと広くなる。このユニークな構造は敵が坂の下から攻めにくくするための工夫だったのではないかといわれる。

 

 商人の町を挟んで「酢屋の坂」の向かいには「塩屋(志保屋)の坂」が〝南台〟の武家屋敷に上っていく。それぞれの坂の上から望むと、この城下町がまさにサンドイッチ型であることを実感することができた。南台につながる「飴屋の坂」は数少ない〝く〟の字形に折れ曲がった坂道。雨が降る暗い夜でも石畳が光ってよく見えることから「雨夜の坂」とも書き表される。北台の東の端にある「勘定場の坂」は傾斜が緩く階段の踏み幅もかなり広め。これは馬や籠かきの歩幅に合うように配慮したものといわれる。

 

 杵築城は八坂川の河口にある台山(だいやま)の上にそびえる。1970年に歴史資料館を兼ねて建てられた小規模な模擬天守だが、眼下に海や川、杵築の市街地などを望む360度の見晴らしは絶景そのものだった。ここからの眺めでも南北の高台とその間に挟まれた商人の町のサンドイッチ型の町並みをはっきり確認することができた。また南台の展望台からは杵築城や八坂川、杵築大橋などを遠望することができた。

 

 北台の武家屋敷は長い土塀や白壁、石畳が続き、江戸時代の面影を多く残していた(下の写真㊧)。酢屋の坂を上りきってすぐ右手にある大原邸は家老を務めた武家屋敷で、中島付きの池などを配した回遊式庭園を持つ(同㊨)。茅葺きで、4年前に26年ぶりに約4600万円を投じて葺き替えたそうだ。近隣には能見邸や磯矢邸、杵築藩の藩校「学習館」の門なども残る。商人の町には市役所や新しい商店が立ち並ぶが、その間に「綾部みそ」など江戸時代から続くという商家も点在していた。杵築は〝きものが似合う歴史的町並み〟として、和服で訪れた人に公共観光施設の入館無料、飲食代の割引などのサービスを提供しているそうだ。

 

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