く~にゃん雑記帳

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<奥能登探訪㊤> にぎわう珠洲市の「国際芸術祭2017」

2017年09月12日 | 旅・想い出写真館

【11カ国・地域から39組の現代美術作家が参加】

 能登半島の先端に位置する石川県珠洲市で「奥能登国際芸術祭2017」が始まった。会期は9月3日から10月22日までの50日間。11カ国・地域から39組のアーティストが参加し、市内10地区の会場に力作を出品している。会期中初の日曜日となった10日には、全ての作品を鑑賞できるパスポート(一般2500円)を手に会場を巡る観客らでにぎわっていた(一部屋外展示作品などは無料)。下の写真は小山真徳さんの『最涯(さいはて)の漂着神』

 この芸術祭の総合ディレクターは「瀬戸内国際芸術祭」などでも手腕を発揮している北川フラム氏。「国内外から参加するアーティストと奥能登珠洲に眠るポテンシャルを掘り起こし、日本の〝最涯(さいはて)〟から〝最先端〟の文化を創造する試み」として企画した。2005年に廃船になった「のと鉄道能登線」の旧駅舎や人口減で廃校や廃館になった小中学校、公民館、保育所、映画館、銭湯、市内各地の海岸、バス停などが会場になっている。

 

 能登半島の海岸線には朝鮮半島や中国など内外から様々な漂着物が流れ着く。海岸の展示作品にはそんな漂着物をテーマや素材に選んだ作品が目立つ。小山真徳さんの作品『最涯の漂着神』は難破船と鯨の骨を組み合わせたような作品。珠洲では鯨や難破船などの漂着物を、漁村に幸いをもたらす「エビス」として祀る神社が多く残ることにヒントを得たという。深澤孝史さんの『神話の続き』(上の写真㊧)は漂着したポリ容器などを素材とし砂浜に大きな白塗りの鳥居を築いた。リュウ・ジャンファさん(中国)の『Drifting Landscape』(写真㊨)は景徳鎮と珠洲焼の陶器の破片を、景勝地の見附島(軍艦島)を望む波打ち際にずらりと並べた。

 

 トビアス・レーベルガーさん(ドイツ)の『なにか他にできる』(上の写真2枚)は旧蛸島駅に近い小高い場所に置かれた鋼鉄製のカラフルな作品。その奥に設置された望遠鏡を覗くと、廃線となった線路の先に「Something  Else  is  Possible」という派手なネオンサインのようなものが見えた。廃線などで置き去りにされたこの地域への励ましと将来への明るい可能性を示唆しているように思えた。レーベルガーさんは2009年ヴェネチア・ビエンナーレの金獅子賞受賞者。

 

 村尾かずこさんの『サザエハウス』(上の写真㊧)は浜辺の船小屋の壁に無数のサザエの殻を張り付け、中に入ると真っ白で殻の内部を模して螺旋状になっていた。村尾さんはフレスコ画を通じて左官の仕事を学んだという。使った殻はおよそ2万個に上るそうだ。アレクサンドル・コンスタンチーノフさん(ロシア)の作品『珠洲海道五十三次』(写真㊨)は市内4カ所のバス停の待合所をアルミパイプなどで包み込んだ。

 

 古い銭湯を会場として使った麻生祥子さんの『信心のかたち』(上の写真㊧)は高い所から5分おきに泡があふれ出しては消えながら大きな泡の山を築く。泡を通して能登の人々の目に見えない信心の形を表現したという。その隣にある井上唯さんの作品『into the rain』(写真㊨)はあらゆる生命の源である水のしずくが滴り落ち、波紋となって広がる様を表現した。自ら染色したとのこと。涼しげな大きな蚊帳のようで、中に入って寝転び見上げることもできた。

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