く~にゃん雑記帳

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<細見美術館> 「デミタス コスモス ☆宝石のきらめき☆カップ&ソーサー」

2014年08月16日 | 美術

【鈴木夫妻のコレクション 40年にわたって毎月1点ずつ収集】

 細見美術館(京都市左京区岡崎)で「デミタス コスモス ☆宝石のきらめき☆カップ&ソーサー」展が開かれている。デミタスはフランス語で「半分のカップ」を意味する小ぶりの器。東京在住の鈴木康裕・登美子夫妻が結婚以来40年間にわたって収集してきた膨大なコレクションで、18世紀~20世紀初頭のヨーロッパのデミタスが中心。その1つ1つの愛らしく精緻で華麗な装飾はまさにタイトル通り〝宝石のきらめき〟を放っている。

  

 鈴木夫妻は1967年に結婚したが、共通する趣味はなかったという。ただ、お互いにコーヒー好きだったことがデミタス収集のきっかけになった。カップの高さが7cm以下、ソーサーとのセット――といった基準を設け、2人で相談しながら1カ月に1点ずつ集めてきた。今では500点を超える世界有数のコレクションになっている。

 展示は館内3カ所に分かれ、ドイツのマイセンやKPMベルリン、フランスのセーヴル、英国のロイヤルウースターやミントン、オーストリアのウィーンなど窯ごとに作品が並ぶ。第1展示室にはご夫妻の一番のお気に入りも展示されている。登美子さんのお気に入りはウィーンの「上絵金彩菫(すみれ)のリース図カップ&ソーサー」(1800~10年頃)。康裕氏はKPMベルリンの「上絵金彩ジュール花文カップ&ソーサー」(1901~25年)など2点。

 

 第2展示室には英国の作品が並ぶ。その中で引き付けられたのがロイヤルウースター製の「上絵金彩ジュール透彫」(1880年代、写真㊧)。その繊細な細工は目を瞠るばかり。作者はジョージ・オーエンという透かし彫りの第一人者で、素地が完全に乾燥しない状態で様々な道具を駆使して規則的に小さな穴をくりぬく。彼はその技術を誰にも明かさなかったという。

 同じロイヤルウースターの「上絵金彩ジュール四面絵付」(1912年)は四面を花、果実、動物、風景と異なった図柄で飾る。絵付けの名手4人がそれぞれ得意とする絵を担当したというユニークな共同作品。ミントンの「上絵金彩七宝写」(1872年、写真㊨)は七宝焼きを模したもので、鮮やかなブルー地と金線による縁取りが美しい。

 第3展示室にはエミール・ガレ(フランス)の「薊(あざみ)文」やドーム兄弟(同)の「風景画」のカップ&ソーサー、日本の十二代(?)今泉今右衛門(有田)や七代錦光山宗兵衛(京都)が輸出用に作った作品も並ぶ。デミタスのほか、参考出品として飾り皿や飾り壷、花瓶なども展示されており、これらも目を楽しませてくれる。

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