く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<紐・縄・綱> 目に見えない神仏との〝縁〟も結ぶ

2012年06月15日 | 祭り

【奈良県立民俗博物館で開催中の「結びの民俗~ひも・なわ・つな」展】

 2010年から毎春開いている「モノまんだら」シリーズの第3弾。「クジ・袋」「太鼓とカネ」に続いて、今年は身近にありながら日ごろ特別意識もしない「紐・縄・綱」に焦点を当てた。企画展会場の入り口にデ~ンと鎮座するのは奈良県橿原市四条町の「綱組み」行事の主役「オツナサン」。毎年成人式の前日、南の春日神社でオスのオツナサン(写真手前)、北の春日神社でメスのオツナサン(写真奥)を歌に合わせて組み上げ、それぞれ五穀豊穣を願って本殿に奉納されるという。それにしてもすごい存在感だ。

  

 会場に入ると、結納飾りや牛の飾り綱、お百度紐、草履、腰紐、林業で使う木登り用のカルコ、木を加工するフタワリ、運搬用具のオイコ(背負い梯子)、農業用の長縄付き水汲み桶(2人で4本の縄を巧みに操って低地の水を田に跳ね上げる農具)などが展示されていた。常設会場の農林業にまつわる用具類にも実に多くの縄が使われており、紐・縄・綱が暮らしに不可欠だったことを改めて実感。同時に目に見えない信仰の場でも重要な役割を果たしていることを思い起こさせてくれた。

 注連縄や勧請縄は結界にかけられ、外からの不浄なものの侵入を防ぐ。その一例としてパネル写真で明日香村稲渕や平群町椣愿(しではら)の勧請縄、枚岡神社(東大阪市)の大注連縄などを紹介していた。長谷寺の結縁の五色線も展示されていたが、これはご本尊の大観音像が特別公開される時に、手首に着けて拝観すると仏様との縁を結ぶことができるという。

     

 上の写真は桜井市の「江包(えっつみ)・大西のお綱祭り」。江包地区からは男綱、大西地区からは女綱が担ぎ出され、素盞鳴神社で「入舟の儀式」(合体)を行う。男綱と女綱と言えば、2本を結んで引き合う古式の綱引き行事は今も各地に残っている。例えば、沖縄各地で行われる豊年祭や秋田県大仙市の「刈和野の大綱引き」など。綱引きの多くは豊作や豊漁を占う年占神事として長い伝統を持つ。

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