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中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

大映宣伝部・番外編の番外 (82) 伊藤雄之助さん

2015年09月21日 | 日記

   

 

     今回は伊藤雄之助さんを取り上げます。彼はフリーの俳優さんですから各社の、

     名匠、黒澤明・市川崑・木下恵介・渋谷実・成瀬己喜男などの監督作品に数多く

     出演し、それぞれに名脇役ぶりが話題になりました。

     大映での出演本数は10本足らずですが、出ている作品はどれもこれも彼のユニ

     ークな演技が目立つ作品ばかりで、特に「巨人と玩具」(増村保造監督)「しとやか

     な獣」(川島雄三監督)「忍びの者」(山本薩夫監督)「華岡青洲の妻」(増村保造監

     督)では強烈な印象を残しています。

 

     伊藤雄之助さんは、大正8年(1919)東京の浅草生まれです。両親はともに舞台

     の人で、彼も4歳8か月で沢村雄之助の芸名でデビュー、しかし関東大震災と父

     の急死で舞台活動を一時断念し、お母さんの薦めで今度は教師を目指します。

     しかし今度はお母さんが亡くなり、東宝専属で芸能界に復帰しますが、そこで口

     には出せない程の苦労を味わうのです。

     昭和15年に召集されて中国大陸で兵役に、途中から移動演劇隊に入れられて

     中国から日本に戻って巡業時に終戦。義兄の佐伯清監督の推薦で東宝に復帰

     し、それからもっぱら映画での活躍が開始されます。

 

     昭和29年(1954)にフリーとなり各映画会社やテレビの露出が増えることになるの

     です。彼のニックネームは「ゴテ雄」、演技に対しての執念はすさまじいものがあ

     り、古い映画界の因習についてもズケズケ批判したことなどから、それが原因で

     一部の会社や監督から敬遠された時期もあったようです。

     昭和55年(1980l)療養のため出かけた伊東の温泉で容体が急変、3月11日に心

     臓発作で帰らぬ人となりました。60歳、惜しまれる早死でした。

 

     余談になりますが、若い頃の私は、撮影所の皆から高松英郎に似ていると言わ

     れましたが、自分では高松ちゃんではなく、伊藤雄之助さんに似ていると思い続

     けていたこともあり、彼が亡くなった後でも彼の作品を見るたびに、やっぱりこち

     らの方が似ていると思ったのも、私なりの伊藤雄之助さんへの思い出話です。

   

   

     

 

 

 

 

コメント (6)
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