題名の「ナイトクローラー」とは、事件や事故を撮影するため徘徊するパパラッ
チのことで、刺激的な映像を求めて夜のロサンゼルスを駆けめぐる報道パパラ
ッチの姿を通し、視聴率至上主義のテレビ業界の裏側を浮き彫りにしたサスペ
ンススリラーです。
盗品を売った帰りにルイス(ジェイク・ギレンホール)は、偶然に通りかかった事
故現場で報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知り、自分も見よう見ま
ねでナイトクローラーをやってみようと思い立ちます。
早速盗んだ自転車と交換でビデオカメラを手に入れたルイスは、警察無線を傍
受して事件や事故の現場に猛スピードで駆けつけ、悲惨な映像を次々と撮影し
て行くのです。更に妙に弁が立ちずる賢い彼は、過激な映像で高額な報酬を得
るようになって行きます。
果敢に突撃する彼の刺激的な映像は、とあるケーブル局の女性ディレクター(レ
ネ・ルッソ)に気に入られますが、さらなるスクープ映像を求めて行動をエスカレ
ートさせていき、ついに取材の一線を越えてしまうのです・・・。
監督は「ボーン・レガシー」などの脚本家として知られるダン・ギルロイが、長編
監督デビューとなり、期待以上の演出力で最初から最後まで、どんな展開にな
るかと興味津々で見せてくれます。
主演の二人も好演だし、夜のロサンゼルスなどの映像も素晴らしく、映画として
はとても纏まっていて面白いのですが、困ったことに主人公に全く共感出来ない
ばかりか、作品全体として不快・下劣の連続で後味が極めて悪いということです。
逆に後味の悪さを狙っているフシもあるのです。映画はどれだけ悪の限りを尽く
しても、後味を良くすることが必要だと思うのですが、その気配はありません。