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ドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」で知られる在日コリ
アン2世のヤン・ヨンヒ監督(女性)が、自らの体験を題材に、国家の分断に
よって離れ離れになった家族が傷つきながらも強く生きて行こうとする姿
を描いた異色作品です。
北朝鮮の帰国事業により希望を求めて北朝鮮に渡った兄ソンホ(井浦新)
が、病気療養のため25年ぶりに日本へ戻って来ます。
束の間の家族団欒を楽しむ父(津嘉山正種)と母(宮崎美子)と妹リエ(安藤
サクラ)でしたが、兄には24時間監視役(ヤン・イクチュン)が付いている異
様な有様・・・。
異なる環境で育った兄妹が、ともに暮らすことで露呈する価値観の違いや、
それでも変わらない家族の絆が強まります。
そして滞在期間は3ケ月の短い期間に治療は不可能と医師から診断され、
滞在延長を申請しょうとした矢先、本国から非情な帰国の指示が・・・。
監督が自らの体験を基に作り上げたフィクションだそうですが、このままで
はいけないという監督の無念さが含まれていて良心作であるとは言えます。
でもキムチのつもりで食べたら日本の漬物だったという感じがするのも事実
で、スタッフ・キャストのほとんどが日本人であり、日本で製作されたものだ
から仕方がなかったのでしょう。
色々な問題点に近づこうとしても核心に近づけないのは、複雑な2国間の
壁が遮っているのでしょう。
でもこれを韓国で韓国のスタッフ・キャストで製作すれば全く様相が変わっ
たと思います。
今週福岡でも上映されている韓国映画「トガニ」と見比べていただけると
判るのですが、あの執拗な問題点の追い詰め方や描写を見れば一目瞭
然のことです。
最後に褒めておきたいことがあります。それは宮崎美子と安藤サクラの
演技で、役柄にはまり込んだ熱演に拍手です。
(8/14 KBCシネマ 4日目 14:00の回 25人)