これまでの作品で国内外の映画賞を数々受賞している細田守監督の、母と子
をテーマに描くオリジナル・アニメーションです。
恋した相手が実は狼男だったというスタートは、まるでハリウッドのティーンム
ービーの様相ですが、細田監督は如何に描き出すのか、その手腕に期待して
見ました。
19歳の大学生の花(声・宮崎あおい)が出会い、恋に落ちた相手は人間の姿で
暮らす狼男でした。
やがて一緒に暮らしはじめた二人は、雪の日に生まれた女の子の雪と、雨の
日に生まれた男の子・雨にめぐまれ、家族4人で都会の片隅に慎ましく生活し
ていましたが、彼が突然帰らぬ人に・・・。
一人で子供を育てる決心をした花は、人間と狼の二つの顔を持つ「おおかみこ
ども」のために、人里離れた村で再出発するのでした。
秘密を持つ子供であるため病院にも行けないようなことが続出、それでも成長
して行くおてんばな雪と気弱な雨。そうして大きくなった二人に、将来を選択す
る時がやってきます・・・。
この作品を撮ったところは"スタジオ地図"ですが、ジプリ以外にもこれだけの
アニメーションが撮れるようになったとことにまず拍手、いい競争相手が出来
ました。それから声優としての宮崎あおいが実にいいです。
細田監督の母親と子の絆という普遍的なテーマはある程度理解しますが、そ
のための創作ストーリーは私的に合点が行かないことが多いのです。
アニメとして技術的にもよく出来ているし、表面的な母と子のくだりに感動され
る方も多いようですが、それだったら何で最後まで辻褄が合わない「狼」だっ
たのか、あまりにも非現実な展開が多く理解に苦しみます。
それと子供向きとは思えない内容で、どんな人に見て欲しいのか、これも極
めて不明確です。
多くの方々の感想は好評の嵐ですが、私は買いませんし、失敗作と思って
います。
(7/27 TOHOシネマズ天神 7日目 13:10の回 26人)