映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」

2012年08月01日 | 日記

    

     ビルマ(現ミャンマー)の独立運動を主導し、達成を目前に暗殺されたアウンサン
     将軍を父に持つアウンサンスーチーですが、その後、軍事政権との過酷な戦い
     を余儀なくされるものの、アジア人女性初となるノーベル平和賞を受賞し、今な
     おミャンマーの民主化に奔走する彼女の実録ドラマです。
     アウンサンスーチー役のミッシェル・ヨーがリュック・ベッソンに脚本を持ち込み
     映画化が実現したと聞かされています。

     '88年、イギリスで優しい夫(デビット・シューリス)と二人の息子に囲まれて幸せ
     に暮らすアウンサンスーチーは、母親の看病のために帰国。そこで彼女は軍事
     政権が学生たち民主主義運動を非情に弾圧するのを目の当たりにします。
     それからというものは自然な流れで彼女に民主主義運動家たちから選挙への
     出馬要請がなされます。
     それに対して軍事政権はあらゆる手を使って妨害、英国に戻そうとしますが一
     度ミャンマーを離れると再入国が出来ないことから踏み止まる彼女。それは愛
     する家族と引き裂かれる辛い人生の始まりだったのです・・・。

     作家のレベッカ・フレインが今でもままならない状勢の中で取材し執筆した脚本
     で、監督をリック・ベッソンが担当。主演は映画化に熱意のミシェル・ヨー、夫役
     には英国の名優デビット・シューリスが扮しています。

     まず感心することはアウンサンスーチーになり切っているミシェル・ヨーで、スー
     チーさんの話すビルマ語ばかりか、彼女の仕草や訛までもマスターして演じてい
     ることです。
     とにかく凄い女性であることはひしひしと伝わってきますが、少し民主化が実現
     しつつあると言っても現実的にはまだ制約が厳然とあることは伺えます。
     だからと言う訳ではないかも知れませんが、脚本は大まかにまとめられていて、
     家族愛や夫とのやりとりに物語を費やし過ぎになっています。
     もっと壮絶な彼女の軍事政権との戦いがあるのですが、それが薄くなったのは
     仕方がないと察します。

     映画では幼い彼女が急に英国で結婚し、大きな子供までいるのは省略し過ぎ
     だし、リュック・ベッソンは元来派手なアクションものが得意な監督ですから、求
     められる繊細さや機微を望む方が無理だったと思います。
     彼女が長い闘いの末に、晴れてミャンマー連邦議会の議員に選出されてまだ3
     ヵ月に満たないこの時期に、映画が製作・公開されることは実にタイムリーです
     が、彼女の生きてきた道は実に驚嘆の事実ですから、もっとその内容を知りた
     かったと思うのは私だけではないでしょう。これでは中途半端です。
                         (7/25 T・ジョイ博多 5日目 11:20の回 43人)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする