かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

インド美術史

2011年07月20日 | Books
nose3今晩は、会食があった。久し振りにお会いした方が、相馬出身であったことは存じあげていたのだが、あの日に、ご両親が津波で亡くなられたと知った。
ゴールデンウィーク過ぎて、お二人とも80mぐらい離れて見つかったという。
ご本人は、不幸中の幸いとおっしゃっていたが、本音はやりきれないというところだろう。
もちろん、自宅は跡かたもない。
海から、800mぐらい離れた田んぼの真中に、お二人は住まれていたという。
ご冥福をお祈りする。



本書は、先日のビッグサイトでのブックフェアの吉川弘文館さんのブースで安売りしていたのをGETした。
前から、存在は知っていたが、ちょっと高かったので、手を出していなかった。

元は、1981年に発行された本だが、本書は、2009年に再発されたもの。著者の助教授時代の講義録がもとになっているという。
30年も前の本が再発されたということは、他の類書がないといのも大きな理由と思うし、著者もそう言っている。
これだけ、膨大なインドの美術史を、一冊の本に、コンパクトにまとめ上げるのは容易ではない。著者もそれを認めているが、日本人である私からは、興味のある部分を中心に解説されているので、かえって都合のいい結果になっている。

本書で、改めて感じるのは、インドの美術の多様性だ。王朝が代わるたび、民族が代わるたび、宗教が代わるたび、美術も、時には連続的に、時には非連続的に、大きな変貌を遂げている。
中国のように、文字を残す習慣がないから、その全貌ははっきりしないのだが。
もうひとつ興味深いのは、イラン、ギリシャなどの西方の文化と、インドの土着の文化との、押し合いへし合いしながらの、融合だ。

本書でも、いろんな発見があった。例えば、初期の仏像に、菩薩像があるが、どうみても、お釈迦様に見えるものがある。これは、まだ、仏像を造るのをためらっていて、仏像は作っても、菩薩像としたのではないかという説があるのだそうだ。それほど、仏像を造るということは、恐れ多いことだったのだ。

インドの歴史、文化、特に古代インドに興味のある方にお勧めできる本。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする