kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

科学的視点

2014-11-30 | 陸上競技
なんとなく書いておきます。

今の学校に赴任して13年目、もう少して14年目となります。赴任して2年間は陸上ではなく硬式野球の部長。それから12年は試行錯誤の中でやってきました。その指導スタイルも大きく変わってきていると思います。最初の2年は陸上がやりたいという想いと一生懸命に甲子園を目指す選手をサポートしたいという気持ちが半々。陸上をやりたいと思う部分とは現状は大きく異なり、部活の体をなしていない活動を陸上部はしていました。ジョギング部というレベルにも到達していない。

そんな中で野球の指導に関わっていました。野球のことは基本的にほとんど分からないのでトレーニング系のことをメインで指導する形でした。当時の私は大学院を出て運動学に関してはかなり知識を持っていると自負していました。教員になるか研究職に就くかを本気で悩んでいる時期もありましたから。こうやってblogを書き続けているのも論文を書くという作業に似ているからかもしれません。私自身典型的な文系の人間です。文章を考えたり、あれこれ思考するのは得意分野だと思っています。

そんな文系だから「理系に憧れる」という部分がありました。大学では趣味で運動生理学の知識を身につけていました。大学院に進学して数値を用いた勉強をすることが楽しかった記憶があります。盲目的に「科学的視点」から陸上を捉えることが正しいのだと信じ切っていたところがあります。当時はそれを指摘して下さる方も周りにはいませんでしたから現役である程度やってきた自分自身に自信と期待をしている時期でした。今考えるとめちゃくちゃ恥ずかしい話なんですが(笑)。

基本的に科学的視点というのは研究職に就いている人が生活の基盤を作るために年間何本か書かなければいけない論文のためにあるのだと認識しています。かなりの論文が数値を用いて「こんなに変化があるのだから正しい」というものです。若かった私はそのことに気づけることもなく手に入れられる論文を全てに目を通すという感じがありました。指導の内容もブレる部分があったと思います。教育的な視点からのブレは今でもないと思っていますが、当時は技術論や練習の組み立ての部分でかなりブレていました。自分が現役の頃にやっていたメニューや本に書いてあった練習をアレンジして実施する。中身を精査することもなく、これはおもろいと感じたメニューを実施していました。

そんな中で2年野球をやって3年目から陸上。5年目にして初めての中国大会。ジョギング部から始まり、ほとんどが未経験者であった部活が数年で中国大会に進めるというので変に自信を持っていました。この時までは「科学的視点」で見ていくことで無駄がなくなると信じていました。効率の良い正しい練習をしているのだから強くなるんだと盲目的に信じていました。周りが全く見えていないだけだったんですが。

その年の夏、初めて師匠の主催される合宿に呼んで頂きました。この時合宿に参加していなかったら今の自分は居なかったと思います。まー今も大したことはないんですが。ここで現場で選手を見ることで気づくこと、考えることの大切さを教えていただきました。これから指導スタイルが劇的に変化します。「科学的視点」という要素がメインだった所から「必要最低限の要素」とすることにしました。過去の経験というのはあくまで「たまたまの成功体験」であり、万人に当てはまるわけではない。それを突きつけられました。それ以降はかなり親密にさせていただいていますが、ここがなければインターハイに出場するという指導者にはなれなかったかもしれません。

ここ最近は逆にまた視野が狭くなっているのではないかと感じています。現場で物事を見続けることが最優先。ここは変わらないのですが、いつの間にかスマートな指導になり過ぎている気がしています。100mでインターハイに行くという大きな目標を掲げてやってきました。たまたま13秒1の選手が2人12秒1まで記録を伸ばしましたし、卒業した選手で13秒1が12秒3まで記録を伸ばした。その過程でスピードを上げることを意識して多くのものを削ぎ落としてきました。それが上手くいったというのもあると思います。が、その成功体験が他の選手につながるわけではない。「科学的視点」というのは実は上手くいった選手にフォーカスしてそれを「万人に通用する理論」として表現することにもつながっていると思います。本当は選手が違えば全部違うんですけどね。

今は私がスタートした部活動と比べると大きく変わっています。毎年県内ではそれなりの活躍をしますし、ある程度注目を集める存在になっていることは間違いありません。私自身、このレベルまで来たら次はもっと意欲的に物事に取り組めるだろうと感じていました。もちろん、それなりにやっているチームと比べると素晴らしいチームになっていると思います。外から見ればなんら問題のない良いチームだと思います。一生懸命に物事には取り組みます。その一生懸命のレベルが私のイメージする水準とは違ってきているのかなと。「科学的視点」から抜け出した時と比べて私自身が「ものさし」を失っているのかもしれません。その「ものさし」が5年前のままなのかもしれない。変わるべきは私自身ではないかと感じています。

書きたいことの半分も書いていませんがしつこくなりそうなので小出しに書いていけたらと思います。時代が変われば選手の意識も変わる。これだけ多くの情報に溢れ、多くの刺激がある世の中で競技に純粋に向き合うというのは本当に難しいことだと思います。多くの視点を持ちたい。その中で見えてくることもあると思います。

雑文となっていますがお許しを。
コメント
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