酢豚のひとりごと

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『ファウストの悲劇』

2010-07-09 22:01:47 | 演劇
「ファウストの悲劇」シアターコクーン
原作:クリストファー・マーロウ、演出:蜷川幸雄、出演:野村萬斎・勝村政信・長塚圭史・白井晃・木場勝己

演出の蜷川幸雄は「ファウストの悲劇」を、明るく童話風にそして歌舞伎調のスペクタクルを見せることで、新しい境地を見い出そうとしたようだ。
欲望と引き換えに悪魔に魂を売ったファウスト博士のお話で、原作はシェークスピアと同時代の作家とのこと。

主演の野村萬斎が独特のセリフまわしで、悪魔に魂を売ることの苦悩を語ってみせるのだが、語りと実際演じるファウストとの間にギャップがある。魂を売り好き放題をするのだが、約束の期限が過ぎ地獄に落ちる時がくると、神に助けを求めるいいかげんな奴であり、最後の目的が裸の女性(一応美の女神)だったり、人物のスケールも小さい。

そのギャップは舞台美術にも感じる。ファストの研究室の古い書籍の並ぶ本棚のセットが美しい。それ以上に立派なのが、舞台の背景のガラスの奥に広がる江戸情緒の世界(芝居を上演している歌舞伎の一座という趣向のようだが)。豪華なセットの中を美しい衣装の男女が動きまわる。趣向だとわかれば面白いが、芝居に直接からまないだけに諸刃の剣。美術の見事さにファウストの苦悩がどこかに飛んでしまうのである。シアターコクーンの大きい舞台には、華やかさも必要かもしれないが、この芝居には不似合いか。

ビジュアル的には楽しいが、内容が空回りしている感じ。

トピックスは大林素子の出演。八王子実践時代から美少女バレー選手で有名だった。あやしい女悪魔や貴婦人などの役で登場する。最近は芝居でも活躍のようだが、初めて見るものにはちょっとはらはらな気分。


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