「寿歌」シス・カンパニー公演 新国立劇場小ホール
作:北村想 演出:千葉哲也 出演:堤真一・戸田恵梨香・橋本じゅん
私にとっての「寿歌」は、昔芝居にのめり込んだ記念すべき作品。記憶はさだかではないが、雪のラストシーンと「この日より氷河期始まる」というメッセージにすごく感激した記憶がある。舞台に降る雪を見たのも初めてだったと思う。
また今回はセリフの中で丁寧な説明があった「あまがつ」という言葉が、その時わからなかったのも懐かしい。
話は核戦争の後の世界。旅芸人のゲサク(堤真一)とキョウコ(戸田恵梨香)はリヤカーを引きながら、町を回っている。生きている人がほとんどいない中、物を増やす芸を持つヤスオ(橋本じゅん)にたまたま出会い一緒に旅をする。
三人はどこへいくのか、「やそ」とも聞こえるヤスオは何者か。ヤスオに憧れるキョウコの恋は?今回は「花火」「火垂」など題をつけてオムニバス風に語られる。
核戦争の不安はあったものの絵空事として見られた過去と違い、今回は日本が放射能に汚染されている現実がある中での舞台。
厳しい現実に、関西風のいい加減な流れを違和感を持って見た人もいるに違いない。
この舞台では、1.ヤスオのキャラが他の二人に似ていること、2.舞台美術がシンプルでないこと、3.衣装がカラフル過ぎること、4.音楽にタンゴを使っていること、など私には気に入らない部分もあるが、古い戯曲を現代に生かすための挑戦と考えるべきなのだろう。
東京公演は、2月2日(木)まで
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