酢豚のひとりごと

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『下谷万年町物語』

2012-02-06 00:43:20 | 演劇


「下谷万年町物語」  シアターコクーン
作:唐十郎  演出:蜷川幸雄  出演:宮沢りえ・藤原竜也・西島隆弘・六平直政・沢 竜二他

この芝居は多分「のり」で見るのが一番いいのだろう。ただこちらに、のれるだけの気力があるかどうかであるが。

唐十郎の脚本は一種の妄想である。池の底に劇場があったり、町工場が「おかま」の巣窟になったりする。主役級がわけもなく死んだと思えば、突然亀が現れて、重要な役割を果たしたりする。
過去、この「のり」が受けたのは、多分その時代に勢いがあったからだろう。筋のつじつまが合おうが合うまいが、反権力という粉を振りかけただけで若者を熱狂させるエネルギーが、その時代にはあったということだ。

では今シアターコクーンという劇場で、冷静に見た時どうなのか。
一人一人に個性を持たせた大勢のおかま、客にビニールシートを持たせるほど使う大量の水など、本筋と違うところがどうしても、目立ってしまう。
セリフ全体は面白いのだが、「ヒロポン」「ターキー」「米穀通帳」など、客の年齢を考えると理解不能の言葉も多く、微妙なニュアンスが伝わるかどうかも心もとない。

この芝居の救いは男装の麗人、キティ・瓢田を演じる宮沢りえ。ずぶ濡れで藤原竜也(青年洋一)に抱かれて登場するシーンは目を見張らされるし、キラキラと目を輝かせて発せられるセリフは途方もなく美しい。
宮沢りえの前では、芸達者な藤原竜也も、初々しさで好演の西島隆弘も霞んで見えるほどだ。

公演は2月12日(日)まで


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