曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

1000年後の人たちへのプレゼント

2018年03月31日 | 日記

今日の花

桜エドヒガンの花  購入したエドヒガンの苗に一つだけ花房が付いていました。将来こんな花が幾千万も付いて木全体を覆うように咲くようになります。

 


2月24日に、苗木屋さんからエドヒガンの苗木が届いたことを書きました。届いた苗木はすぐに定植するとよかったのですが植える場所の準備ができていなかったので、畑に仮植えしてありました。今日はもう3月の31日です。仮植えした苗木はそこでもう新芽が吹いています。いくらなんでも3月中には定植しなければいけないと思い、今日ようやく植え付けを終わりました。今日は若い助手がいたのでとても助かりました。ご苦労さんでした。

エドヒガンと言う桜の品種はもともとヤマザクラの一種ですがとても寿命の長い樹木です。植わっている環境が良ければ1000年でも2000年でも生きることのできる桜です。私が40歳の時から始めた桜の植樹はもう1000本に近いと思いますが、みんなに眺めて楽しんでいただくとともに自分が見て楽しもうという意識が強かったと思います。毎年春に植えた苗木が一年一年成長してゆくのを見て嬉しく思っていました。今までの30年間に植えた桜の木は私を楽しませてくれましたが、70歳を過ぎたこれからは未来の人たちのために植えようと思う様になりました。今までは主に園芸品種の桜を植えてきたのですが、これからは寿命の長いヤマザクラの系統を植えて行こうと思っています。私の植えた桜が運良くば1000年後、いや2000年後までも花を咲かせ続けるかもしれません。

今まで30年間は及ばずながら桜守として桜の成長を手助けしてきましたが、植えた苗木はすべて苗木屋から購入したものです。今年からは植えるための苗木を自分で作ってみようと思い、桜の挿し木苗作りに挑戦しています。ヤマザクラの中で私の気に入った木から採穂して苗を作っています。うまくいったら皆さんにもご紹介しますので、やってみてください。

今日は私の所へ若い人が訪ねて来て、一日桜の植え付けを手伝っていただいたり、お話をしたりで私も少し気持ちが若返りました。若い人はこれから歩む長い人生に広い選択肢を持っていて失敗をしても立ち直りながら生きて行くでしょうが、私の様にもう日暮れを過ぎて残りの時間が少ない人間は人生のお片づけも始めなければなりません。でもそれだけではさみしいので、小さくとも未来への夢は持ちたいと思っています。1000年後の人たちが私の植えた桜を見て喜んでくれるかどうかわかりませんが、1000年後の人たちにささやかな贈り物をしたいと思って今日この桜を植えました。

1000年後の地球はどうなっていることでしょうね。人間の社会がどのようになっているのかは想像が難しいですが、たった1000年くらいでは地球そのものは何の変化もないことでしょう。人間の社会がうまく持続可能社会として存続できていたらいいですね。将来も人間が今のような欲望のままの暮らしを続けていたら1000年経たなくとも危ないかもしれません。5年後、10年後は想像できそうですが、50年後あたりより先は想像するのが難しくなります。今日訪ねて来られた若者とは50年後をどのように暮らしているかちょっとだけ話をしました。その時私はもういないけれど今日植えた桜の木を50年後に見に来てくれますかと頼んでおきました。でも50年後には彼も忘れているかもしれません。

今日植えた桜には「千年の夢桜」とでも名付けましょうか。

 

 


千年の夢桜

 

 

 

 

植えた所は瀬戸内海の眺めの良い我が家のみかん畑です。この畑は最も高い所にあり山の際になるので数年前からイノシシの被害がひどくなり、この2年はほとんどみかんの収穫ができなくなりました。この春には思い切って廃園にすることにしてみかんの木をみんな伐採しました。私ももういい年ですから畑の縮小を兼ねてここを桜の山にすることにしたのです。何年も前からそのようなことは予測して桜の木を少しづつ植えていたのです。下のしだれ桜もその一本です。